川崎医科大学 乳腺甲状腺外科学教室

(甲状腺/副甲状腺)

“心暖かく、日本で一番よい診療”を目指しています。

乳腺甲状腺外科の独立した科を有する大学は全国でも極めて少なく、 40年余りの歴史をもっています。充実したスタッフの豊富な経験により、 手で触らないような微小がんの診断から、難治性の進行がんの治療まで、 「心暖かく、日本で一番よい診療」を目指しています。

主要疾患の治療

甲状腺疾患

甲状腺は喉仏のすぐ下あり蝶のような形をした20gほどの内分泌臓器です。内分泌臓器とはホルモンを作る臓器のことであり、甲状腺は甲状腺ホルモンを合成・分泌し、代謝に関与します。
甲状腺疾患は甲状腺ホルモンの異常(甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症)と甲状腺内にできるしこり(良性と悪性)に大別されます。手術の適応となるのは甲状腺機能亢進症の中のバセドウ病と甲状腺内にできるしこりです。

・バセドウ病:
バセドウ病は、自己抗体が甲状腺を刺激することによって甲状腺ホルモンが多く出すぎてしまいます。眼球突出や甲状腺腫大と見た目の変化や動悸、暑がり、発汗過多、食欲亢進、体重減少、下痢などの症状を認めます。わが国では初回治療として抗甲状腺薬による内服治療をします。甲状腺機能や自己抗体を測定しながら内服を減量・中止していきます。しかし、内服による副作用や甲状腺機能のコントロールが不良である場合、大きな甲状腺腫、2年以上経過しても内服中止のめどが立たない症例などは手術や放射性ヨウ素内用療法を考慮します。当科で行う手術は甲状腺亜全摘術(一部甲状腺を残す手術)や甲状腺全摘術をします。甲状腺亜全摘術は残存甲状腺から再燃することもあり、近年は甲状腺全摘術後に甲状腺ホルモンを内服で補充する傾向にあります。

・甲状腺のしこり:
甲状腺内にできるしこりに対しては超音波検査を施行し、必要であれば細い針を刺して癌細胞の有無を調べます。良性であれば大きさや形状の変化を定期的にチェックしていき、必要であれば手術を行います。
悪性甲状腺疾患には乳頭癌、濾胞癌、未分化癌、髄様癌、悪性リンパ腫があります。このうち約90%は乳頭癌であり、約5%が濾胞癌、髄様癌や未分化癌、悪性リンパ腫は数%の頻度です。
乳頭癌や濾胞癌は予後良好な癌であり、20年生存率(20年後に生存している確率)は約90%です。しかし、癌の診断や癌が強く疑われる場合は手術が必要です。当科ではしこりの大きさ、甲状腺外への広がり、リンパ節転移、肺などの遠隔転移などの状況によって甲状腺葉切除(甲状腺の半分程度を切除)や甲状腺全摘術とともに甲状腺周囲にあるリンパ節も切除します。また、甲状腺の周囲には気管や血管があり、そういった臓器に癌が広がっていることがあります。他院で手術不能と言われた症例も内分泌外科専門医を中心に手術可能かどうかについて再考致します。
未分化癌は、頻度は低いですが進行がはやい癌種です。状況によって手術や放射線、分子標的薬など様々な治療をその都度提示させて頂きます。
髄様癌も頻度は低いですが、後述するように(甲状腺・副甲状腺の遺伝性疾患について)一部に遺伝性の髄様癌があります。髄様癌の診断に至った際は遺伝子検査について説明させて頂き、その後治療方針を提示させて頂きます。
甲状腺悪性リンパ腫が疑われた場合は、太めの針や手術によってしこりの一部を切除して詳しい検査をします。その後、放射線治療や化学療法を提示させて頂きます。
甲状腺癌の再発に対しては手術やヨウ素内用療法、放射線外照射の他に、最近適応となった分子標的薬を使用します。
手術のために入院期間は7日程度です。また、初期の甲状腺癌であれば頸部の皮膚切開創をなるべく小さくするように配慮しています。

副甲状腺

副甲状腺は甲状腺の左右の背側に位置する米粒大の内分泌臓器であり、通常は4つ存在することが多いです。副甲状腺は副甲状腺ホルモンを合成・分泌し、血液中のカルシウム濃度が一定になるように調節しています。
副甲状腺ホルモンが出過ぎる病気は原発性副甲状腺機能亢進症と二次性副甲状腺機能亢進症があります。原発性とは副甲状腺自体が原因でホルモンを多く分泌してします疾患であり、二次性とは腎臓などの他の臓器が原因で副甲状腺がホルモンを多く分泌する疾患であり、主に透析患者さんが罹患します。

・原発性副甲状腺機能亢進症:
原発性副甲状腺機能亢進症には1つの副甲状腺だけが原因である腺腫(良性)と癌(悪性)の他に、複数の副甲状腺が原因である過形成があります。そのうち約90%は腺腫、約10%が過形成であり、副甲状腺癌は稀な疾患です。術前の超音波で腺腫が疑われた場合は腫大した副甲状腺を摘出すると同時に、同側のもうひとつの副甲状腺が腫大していないかどうかを調べ、過形成でないことを確認します。術前や術中に過形成が疑われた場合は4つの副甲状腺を摘出し、その一部を腕に移植して、そこから副甲状腺ホルモンが合成・分泌するようにします。

・二次性副甲状腺機能亢進症:
二次性副甲状腺機能亢進症では複数の副甲状腺がホルモンを多く分泌する過形成です。手術では4つの副甲状腺を摘出後に副甲状腺の一部を腕に移植します。当院は透析センターもあり、術前日と術翌日に人工透析をし、必要があれば術当日も致します。
手術のための入院期間は甲状腺の手術と同様に7日程度です。


※副甲状腺は基本的に甲状腺背側に合計4つありますが、ひとによって少なかったり多かったりすることや胸骨の裏側などに存在するなどの位置異常があります。このような困難な症例も必要があれば積極的に手術致します。

甲状腺・副甲状腺の遺伝性疾患

多発性内分泌腺腫症(multiple endocrine neoplasia:MEN)は様々な内分泌臓器(一部非内分泌臓器)に過形成・腺腫・癌を発症する遺伝性疾患です。MEN患者を診断することの重要性として、①非遺伝性腫瘍とは異なる治療方針が求められること、②診断の契機となった臓器以外の病変がある、あるいは今後病変が出現する可能性があること、③まだ診断されていない、あるいはまだ発症していない血縁者の早期発見・早期治療を可能にすること、があげられます。
MENはMEN1とMEN2に大別されます。MEN1は副甲状腺(原発性副甲状腺機能亢進症の2~5%)以外に下垂体や膵、消化管などに病変を認める、あるいは今後出現する可能性があります。また、MEN2は甲状腺(甲状腺髄様癌の20~40%)以外に副腎や副甲状腺などに病変を認める、あるいは今後出現する可能性があります。MEN1あるいはMEN2が疑われる患者様には遺伝子検査(一部保険適応あり)について説明します。当院は遺伝診療部があり、十分なカウンセリングを行った後に遺伝子検査をするかどうか選択して頂きます。
 →遺伝診療部ページhttps://www.kawasaki-m.ac.jp/hospital/dept/119.php)

 
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