
僧帽弁疾患は循環器疾患の中でも重要な位置を占める疾患であり、その診断には断層心エコー図・ドプラ心エコー図が用いられる。しかし従来の心エコー図は二次元画像であり、立体的で複雑な形状をしている僧帽弁の形態を正確に把握しさらに定量評価するのは困難であった。
最近開発されたリアルタイム三次元心エコー図は、立体である心臓を立体のまま記録表示できる画期的な技術であり、そのことによりこれまで難しかった三次元的評価の可能性が高まった。我々の施設では、このリアルタイム三次元心エコー図で記録した画像を三次元的に定量できる新しい解析ソフトの開発に成功し、現在とくに僧帽弁疾患への三次元的アプローチを中心に研究を進めている。
たとえば、心筋梗塞の合併症として知られる虚血性僧帽弁逆流は、病態を大きく左右する重要な疾患であり、そのメカニズムの解明や新しい手術法の開発が大きく注目されている。虚血性僧帽弁逆流は心機能の低下や左室の拡大によって僧帽弁の心尖部方向へ牽引されることによって引き起こされるものであるため、僧帽弁のみならず、周辺の構造を含めた三次元的な解析が必要である。
我々は、今回開発したソフトウェアを用いてこの虚血性僧帽弁逆流における僧帽弁の形態学的変化の三次元表示および定量評価に成功した。
(Journal of the American College of Cardiology 2005;45:763-9)
また、手術前後の弁の形態変化も観察しており、外科医との密接な連携により、よりよい治療法を確立していく事を目標としている。