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第129回 日本医学放射線学会 中国・四国地方会 木戸 歩

2017年12月9日~12月10日に第129回 日本医学放射線学会 中国・四国地方会が開催されました。今回私は、本学会演者として参加する機会を頂きましたので御報告致します。

本学会は日本医学放射線学会の地方会として中国・四国地方における放射線医学の発展に寄与することを目的とし、開催されています。

今回私はMRIで腫瘍内ヘモジデリン沈着が疑われた嫌色素性腎細胞癌の一例を経験したので報告してきました。

嫌色素性腎細胞癌は腎上皮性腫瘍のうち3番目に多く、比較的メジャーな腫瘍です。本腫瘍の特徴としては腫瘤は境界明瞭かつ均一であることです。比較的サイズが大きい場合でも均一な事が多く、嚢胞変性や出血、壊死、周囲浸潤傾向、静脈閉塞は稀と言われています。本症例に関してはMRIで腫瘍内にヘモジデリン沈着を疑う所見を認めたという点が非典型的でした。同所見は乳頭状腎癌に特徴的な所見であると報告されていますが、本症例は病理組織標本にて腫瘍細胞内のヘモジデリン沈着を反映した所見ではなく、間質に沈着するびまん性の出血を反映したものでした。画像上、出血壊死とは異なり、造影効果を有する腫瘍実質部にin-phaseで信号低下を認める事(ヘモジデリン沈着を反映)が乳頭状腎細胞癌の特徴の一つであることや、本症例のように嫌色素性腎細胞癌であってもびまん性の出血に伴い乳頭状腎細胞癌に類似した画像所見を呈する場合があることを学べた貴重な症例となりました。

本学会では私以外に二名(中村 博貴:臨床助教、岩本 侑一郎:前期研修医)が演題を発表させていただきました。一例目は『良性の孤立性線維性腫瘍に生じたtumor to tumor metastasis』で、過去80年に渡り約80〜100例しか報告されていない非常に稀な疾患です。このような疾患が存在する事を知っていなければ鑑別の一つに挙げる事はとても困難であり、長期間経過観察されている良性腫瘍の急激な増大を認め、悪性腫瘍の既往がある場合は本疾患を考慮する必要もあることを学べた一例でした。

二例目は岩本君に発表して頂いた『肝アニサキス症の1例』です。肝アニサキス症は、一般的な侵入経路としては消化管から腹腔内に遊走したアニサキスが肝表面から侵入すると推測されていますが、他の報告例と異なり本例では血管内に虫体が確認され、門脈経由で肝臓に到達した可能性が示唆された貴重な症例でした。

若手とは思えない堂々たる姿勢で質疑応答にきちんと答える姿にとても感銘を受けました。そして、大変喜ばしいことに岩本君の発表が若手奨励賞に輝き、大変誇らしく思います。



最後にはなりましたが、このような機会を与えて下さいました玉田准教授をはじめ、医局の方々に深く感謝を申し上げます。


 

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