学会報告記

MENU2 »学会報告記 »RSNA(Radiological Society of North America)2017報告記 外園英光・福永健志

RSNA(Radiological Society of North America)2017報告記 外園英光・福永健志

今回、私達は2017年11月26日~12月1日までの6日間にわたり、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴにて開催された第103回北米放射線学会(RSNA 2017)においてScientific Sessionsのpresenterとして参加させていただきましたのでご報告いたします。

今年のRSNAは「Explore. Invent. Transform.」というテーマで放射線医学の最先端の知識と技術が発表されました。会場では特に興味のあるGastrointestinalの領域を中心に口演を拝聴、Digital Presentation拝見しました。Educational coursesやDigital Presentationでは日常臨床では遭遇することの少ない、稀な疾患の画像所見について学ぶことができ、貴重な経験となりました。また、最近話題となっているDeep Learningに関する演題も多く、肺癌の検出や4.5時間以内に発症した脳梗塞の判別など、様々な場面で活用できる可能性があり、改めて今後の発展が楽しみな領域だと感じました。機器展示においてもDeep Learningを用いたノイズ低減処理による高画質なMRIの撮像が開発されており、診断領域のみならず、撮像の領域でも人工知能技術が応用されていることに驚きました。



私達はGatrointestinal (Biliary Imaging)というセッションで選択的IRパルス併用Cine-Dynamic MRCPを用いた2つの研究内容を発表させていただきました。

「Postprandial Changes in Flow Dynamics of the Bile within the Common Bile Duct: Evaluation with Cine Dynamic MRCP and a Spatially Selective IR Pulse」では健常者の食前と食後の総胆管における胆汁の流れの変化を選択的IRパルス併用Cine-Dynamic MRCPを用いて評価しました。胆汁の流れには順行性と逆行性があることが知られていますが、順行性の流れは食前と比較して食後で優位に増加がみられました。一方、逆行性の流れは食前後で有意差は認められませんでした。これは食事として栄養補助食を負荷しましたが、Oddi括約筋に及ぼす影響が少なかったためと考えられました。また、胆嚢面積を測定したところ順行性の流れとの相関が観察され、非侵襲的に胆汁の流れを評価することができるのではないかと思われます。胆石症や内分泌異常などでは胆汁の流れが減少することが報告されており、今後の臨床応用への可能性が示唆されました。



「Influence of Cholecystectomy on the Flow Dynamic Pattern of Bile in the Extrahepatic Bile Duct: Assessment by Cine-Dynamic MRCP with Spatially-Selective IR Pulse」では選択的IRパルス併用Cine-Dynamic MRCPを用いて胆嚢摘出症例と非胆嚢摘出症例を比較する事により、胆嚢摘出術による肝外胆管内の胆汁の流れの変化を評価しました。胆嚢摘出群においては非胆嚢摘出群よりも順行性の胆汁の流れはより頻回かつ多量に観察され、順行性の胆汁の流れは総胆管内圧の上昇に起因するものと推察しました。逆行性の胆汁の流れにおいては2群間に有意差は認められず、胆嚢摘出症例においてもOddi括約筋の収縮圧が総胆管内圧よりはるかに高いためと推察しました。今後、胆摘後症候群や乳頭括約筋機能不全症例における胆汁の動態変化を評価するに役立つ可能性があります。


【Expert meetingでの玉田准教授】

今回、RSNAという非常に大きな学会で発表させていただくという貴重な機会を与えてくださった伊東前教授、玉田准教授をはじめ医局の先生方に深く感謝申し上げます。


 

↑ Page Top

学会報告記 最近の5件

研修医募集のお知らせ

 研修医を募集しております。
画像診断、IVRに興味のある方は是非放射線科で研修してください。経歴にかかわらず受け入れる体制を整えてお待ちしています。
  詳しい案内はこちらからどうぞ。 研修医募集のお知らせ

地方会のご案内

関連施設のご案内