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過去の研究・論文紹介

Differentiation of subtypes of renal cell carcinoma: dynamic contrast-enhanced magnetic resonance imaging versus diffusion-weighted magnetic resonance imaging.

目的 :近年の分子標的薬の開発により腎細胞癌でも組織型により使用する薬剤が異なることから組織型を特定することが重要となってきている。最近では生検にかわりMRIを用いた組織型診断の有用性が報告されている。しかし拡散強調像が有用とする報告やダイナミック造影が有用とする報告があり、一定の見解が得られていない。今回の研究の目的は拡散強調像とダイナミック造影の組織型診断における診断能を比較検討することである。

対象と方法 :組織学的に証明された淡明細胞型腎細胞癌36例、非淡明型腎細胞癌9例の計45例を対象とした。腫瘍の拡散強調像ADC値およびダイナミック造影各相(皮髄相、腎実質相、排泄相)の造影効果比を淡明細胞癌群と非淡明細胞癌群で比較検討した。

結果:ADC値、ダイナミック造影皮髄相および腎実質相において両群間に有意差が認められた。それぞれの診断能を比較したところareas under the receiver operating characteristic curves (AUCs) はダイナミック造影皮髄相で 0.968と最も診断能が高く、 続いてダイナミック造影腎実質相( 0.837) ADC値( 0.797) であった。

考察:腎細胞癌の組織型診断においてダイナミック造影MRI皮髄相は拡散強調像ADC値よりも診断能により優れている。

Clin Imaging. 2016 Oct 7;41:53-58.
Yamamoto A, Tamada T, Ito K, Sone T, Kanki A, Tanimoto D, Noda Y.

Evaluation of renal cortical thickness by non-contrast-enhanced MR imaging with spatially selective IR pulses: Comparison between cirrhotic and noncirrhotic patients.

【目的】肝硬変症においては様々な要因で血清クレアチニン値が低下してしまうことが知られており、肝硬変症患者の正確な腎機能評価は困難である。近年、腎皮質厚と腎機能には強い相関があることが報告されている。今回、我々は選択的IR Pulseを併用した非造影MRIを行い、肝硬変症と非肝硬変症で腎機能と腎皮質厚の検討を行った。【対象】選択的IR Pulse併用した非造影MRIが施行され、血清クレアチニン値が正常値(かつe-GFR >60 mL/(min·1.73 m2))であった肝硬変症患者20症例、非肝硬変患者20症例を対象とした。【方法】選択的IR Pulse併用した非造影MRIでinversion times (TIs)を700-1500msec の間で100msecずつ変化させ撮像を行った。皮質および髄質でsignal intensity (SI) を測定し、皮質・髄質の信号比(SI cortex/medulla)を算出した。最も高い皮質・髄質の信号比を示したTIを最適TIとした。最適TIにおける皮質厚および皮質の割合(皮質厚/腎最大幅)を測定し、肝硬変症と非肝硬変症で比較検討を行った。【結果】2群間においては血清クレアチニン・e-GFRには明らかな有意差は見られなかった(p=0.440, p=0.808)。皮質厚、腎皮質の割合は非肝硬変症で有意に高値であった(p < 0.001, p < 0.001)。【考察】従来の血清クレアチニンやe-GFRでは評価が困難であった肝硬変症患者の腎機能評価法の一つとして、選択的IR Pulseを併用した非造影MRIによる腎皮質厚の測定は有用であると思われた。

Kanki A, Ito K, Yamamoto A, et al. Br J Radiol 2016:20150803

Assessment of clinical and MRI features of de novo hypervascular HCC using gadoxetic acid-enhanced MRI.

【目的】肝細胞癌(HCC)は、慢性肝炎や肝硬変を背景としてde novoと多段階発育による発癌経路が提唱されている。しかしながらde novo発癌の頻度や臨床的な特徴は明らかにされていない。そこで、慢性肝疾患患者の連続したGd-EOB-DTPA(EOB)造影MRIを用いてde novo 多血性HCCの臨床およびMRI所見の特徴を明らかにする。【方法】対象は、慢性肝疾患を伴った240症例、1007検査の中で、肝細胞性結節のない初回検査からの経過観察によって新たに出現した多血性HCCを有した16症例、17結節であった。検討項目は、年齢、性別、慢性肝疾患の原因、肝障害度、HCCの治療歴、腫瘍サイズ、多血性HCC検出までの期間、多血性HCC出現前の乏血性肝細胞相低信号結節(high risk nodule)の有無、腫瘍内の脂肪成分の有無および病変の拡散強調像、T2強調像および肝細胞相の信号強度とした。【成績】多血性HCC17病変の中で、12病変(71%)は多血性HCC出現までにhigh risk noduleを伴わないde novo発癌群、5病変(29%)病変はhigh risk noduleを伴った多段階発癌群であった。de novo発癌群におけるHCCの治療歴の頻度(91%)は、多段階発癌群(20%)に比して有意に高かった(P=0.013)。また多血性HCC出現までの期間は、de novo発癌群(平均291日)は多段階発癌群(平均509日)より有意に短かった(P=0.035)。さらにde novo発癌群における脂肪成分を伴った病変の頻度(0%)は、多段階発癌群(40%)に比して低かった(P=0.074)。【結論】de novo多血性HCCは、多段階発癌によるそれに比して、急速な発育、HCCの治療歴を有する症例および脂肪成分のない病変を特徴とする。

Hepatol Res. 2016 May 10. doi: 10.1111/hepr.12742. [Epub ahead of print]
Tamada T, Korenaga M, Yamamoto A, Higaki A, Kanki A, Nishina S, Hino K, Ito K.

MR dacryocystography: comparison with dacryoendoscopy in positional diagnosis of nasolacrimal duct obstruction
涙道閉鎖部位診断における涙道内視鏡とMR涙道造影の比較

涙道閉塞症に対する画像診断においてMR dacryocystographyの有用性が報告されているが、涙道内視鏡所見と比較検討した報告は見られていない。涙道閉塞症に対して、術前に生理食塩水点眼によるMR dacryocystographyを施行した症例の画像所見から閉塞部位を診断し、手術時の内視鏡所見と比較し、検出能を検討した。臨床的に涙道閉塞が疑われ、MR dacryocystography撮影後に涙道内視鏡が施行された31症例(男性13例、女性18例、38-84歳、平均64.6歳)で、MR T2強調像における涙嚢拡張の有無、鼻涙管内の高信号の有無により閉塞部位を画像上、①総涙小管での閉塞、②涙嚢-鼻涙管移行部での閉塞、③鼻腔開口部での閉塞の3つのパターンに分類し、内視鏡所見と比較した。31例中26例(84%)は、MRIの結果と涙道内視鏡の結果が一致した。生食点眼によるMR dacryocystographyは、より生理的な涙の流れを評価でき、radiographicやCT dacryocystographyと比較し、X線被曝の危険、カニュレーションや造影剤使用による合併症の危険性がなく、安全に施行することができる。涙道閉塞症が疑われた症例では価値のある検査と考えられた。

Radiol Med. 2016 Apr 5. [Epub ahead of print]
Higashi H, Tamada T, Mizukawa K, Ito K.

Value of preoperative 3T multiparametric MRI for surgical margin status in patients with prostate cancer.

【目的】前立腺癌症例において切除断端(surgical margin (SM))の有無は、術前の術式の選択において重要な因子であり、また前立腺全摘術後の生化学的再発に対する独立した予測因子である。しかしながら術前にそのSMを予測するための臨床および画像所見は不明である。そこで前立腺癌のSMの予測に対する術前の前立腺マルチパラメトリックMRIの臨床的価値を明らかにする。【方法】対象は、前立腺全摘術で前立腺癌と診断された56症例(中央値:69歳)。術前のマルチパラメトリックMRIは3T装置を用いてT2強調像、高b値拡散強調像(0 and 2000 s/mm2)および造影ダイナミックを撮像した。検討項目は、グリーソンスコア、D’Amicoリスク分類を含む臨床所見および腫瘍の局在、腫瘍サイズ、尖部(SM陽性の頻度が高い)および基部(生化学的再発のリスクが高い)への腫瘍の進展、腫瘍部のADC値(みかけの拡散係数)、被膜外浸潤を疑うMRI所見の有無を含むマルチパラメトリックMRI所見とした。【成績】病理組織学的に15症例(27%)がSM陽性(SM陽性群)、41症例(73%)が陰性(SM陰性群)であった。腫瘍部のADC値は、SM陽性群はSM陰性群に比して有意に低かった(P = 0.001)。SM陽性群における尖部や基部への腫瘍の進展および被膜外浸潤を疑うMRI所見の頻度は、SM陰性群のそれらに比して有意に高かった(それぞれP = 0.034、 P = 0.011)。多変量解析において。腫瘍部のADCが前立腺癌におけるSMの唯一の予測因子であった(P = 0.003)。【結論】SM陽性群はSM陰性群に比して、マルチパラメトリックMRIにおいて前立腺癌病変は、基部および尖部に高頻度に位置し、より低いADC値および高頻度に被膜外浸潤を疑うMRI所見を示す。

J Magn Reson Imaging. 2016 Feb 13. doi: 10.1002/jmri.25185. [Epub ahead of print]
Tamada T, Sone T, Kanomata N, Miyaji Y, Kido A, Jo Y, Yamamoto A, Ito K.

Postprandial changes in secretory flow of pancreatic juice in the main pancreatic duct: evaluation with cine-dynamic MRCP with a spatially selective inversion-recovery (IR) pulse

本研究の目的は、非侵襲的に空間選択的IRパルスを併用したシネダイナミックMRCPを用いて、健常者における経口摂取後の生理的な主膵管内の膵液分泌動体を可視化し、膵液分泌の経時的変化を明らかにすることである。健常ボランティア38症例を対象とし、空間選択的IRパルスを併用したシネダイナミックMRCPを用いて、1セット(5分撮像 + 2分休憩)を5分間で連続的に20枚撮像。摂取前に1セット撮像、経口摂取5分後から6セット行い、合計7セット、摂取後40分後まで撮像した。流動食(テルミール2.0α;200ml)は、検査台に寝たまま経口摂取。摂取前後の各セットでの分泌グレード(secretion grade)を、比較検討した。結果は、median secretion gradeが摂取後5分(2.15)、12分(1.95)と19分(2.05)で摂取前(1.40)よりも有意な高値を示した(P = 0.004、P = 0.032、P = 0.045)。median secretion gradeは、摂取5分後で2.15の最大ピーク値を示した。その後は、摂取26分後から40分後までmedian secretion gradeは徐々に減少する傾向であった。空間選択IRパルスを用いたシネダイナミックMRCPは、生理的反応である経口摂取後の経時的な膵液分泌動体を非侵襲的に評価できる可能性を示した。

Eur Radiol. 2016 Mar 4. [Epub ahead of print]
Yasokawa K, Ito K, Tamada T, Yamamoto A, Hayashida M, Torigoe T, Tanimoto D, Higaki A, Noda Y, Kido A.

Feasibility and safety of transfemoral intra-arterial chemotherapy for head and neck cancer using a 3-French catheter system: Comparison with a 4-French catheter system

近年のIVRデバイスの進歩に伴い、より細径のカテーテルでIVRが可能となってきている。一方IVRの合併症として穿刺部の出血および長時間の圧迫による肺動脈塞栓がおこる可能性があることはよく知られており、特に肺動脈塞栓症はまれではあるが重篤な合併症である。本研究では細径カテーテルでの施行が比較的困難とされる頭頸部領域のIVRにおいて従来よりも細径な3Frのカテーテルを用いて施行可能かどうか、またその安全性について従来の4Frカテーテルを用いて施行した群と比較検討した。結果、全例において手技は成功した。3Frカテーテル群と4Frカテーテル群の2群間で透視時間(3Fr群; 平均28.0分, 4Fr群; 平均30.2分, P=0.524)に有意差はなかった。また手技による合併症や穿刺部からの出血は全例で認められなかった。3Frカテーテルを用いた頭頸部IVRは4Frカテーテルを用いるのと同等の技術的成功、安全性が期待できると考えられた。さらに、従来より細径のカテーテルを用いることにより穿刺部圧迫、臥床時間の短縮が可能となり、ひいては肺動脈塞栓合併の頻度が低下する可能性が示唆された。

Shigeru Watanabe, Akira Yamamoto, Teruyuki Torigoe, Akihiko Kanki, Tsutomu Tamada, Katsuyoshi Ito

Pancreatic adenocarcinomas without secondary signs on multiphasic multidetector CT: association with clinical and histopathologic features.

本研究の目的は、ダイナミックCTで膵癌の診断に有用なsecondary signsを示さない膵癌の臨床的、病理組織学的および放射線学的な特徴を明らかにすることである。病理組織学的に膵癌と診断され、膵切除術前にダイナミックCTが施行された70症例(平均年齢70歳)を対象とする。各症例において、CA19-9、ダイナミックCTにおける等吸収腫瘤の有無およびsecondary signs(主膵管の途絶、尾側膵管の拡張、尾側膵実質の萎縮および尾側膵実質の造影効果の減弱)の有無を含む臨床所見とtumour location、tumour stageおよびmicroscopic infiltrative growth gradeを含む病理組織学的な所見が評価された。70症例中、10症例(14%)がsecondary signs陰性群、60症例(86%)がsecondary signs陽性群であった。腫瘍の存在部位は、secondary signs陰性群がsecondary signs陽性群に比して膵鉤部に存在する腫瘍の割合が有意に高かった(5症例(50 %)vs. 3症例(5 %))(p = .001)。ダイナミックCTで等吸収を示す膵癌の割合は、secondary signs陰性群はsecondary signs陽性群に比して有意に高かった(p = .034)。またsecondary signs陰性群はsecondary signs陽性群に比して、tumor stageが有意に良好であった(p = .041)。Secondary signsを伴わない膵癌はsecondary signsを伴う膵癌に比して、膵鉤部腫瘍、等吸収腫瘍およびより早期のtumor stageを特徴とする。これらの特徴的なCTおよび病理学的所見は、膵癌の検出能の向上および膵癌症例の予後の改善に寄与するかもしれない。

Eur Radiol. 2015 Jun 18. [Epub ahead of print]
Tamada T, Ito K, Kanomata N, Sone T, Kanki A, Higaki A, Hayashida M, Yamamoto A.

Non-invasive investigation of exocrine pancreatic function: Feasibility of cine dynamic MRCP with a spatially selective inversion-recovery (IR) pulse

膵外分泌機能検査は、慢性膵炎の診断だけでなく治療効果判定にも重要である。膵外分泌機能検査のゴールドスタンダードは、セクレチン負荷による直接的な有管法として膵管や十二指腸内の膵液を採取する方法である。これらは特別な技術と施設が必要で侵襲の強い検査である。一方、侵襲の少ない間接的膵外分泌機能検査としてキモトリプシン試験、糞便のエラスターゼ-1試験、BT-PABA試験があり、画像による膵外分泌機能評価としてこれまでもセクレチン負荷MRCPによる検討がなされてきたが、本邦では現在セクレチン製剤の入手困難となっている。近年、空間選択的 inversion-recovery (IR)パルスを用いたcine-dynamic MRCPにより非侵襲的に生理的な膵液の流れを可視化することが可能であることが示されている。今回我々は空間選択的IRパルスを用いたcine-dynamic MRCPによる膵液の流れとBT-PABA試験を比較検討した。慢性膵炎患者と健常ボランティアを含めた20症例を対象。撮像は、空間選択的IRパルスを用いたcine-dynamic MRCPを5分間で計20回(15秒間隔)繰り返し行った。この撮像方法による主膵管内の膵液の流れ(分泌頻度と分泌grade)とBT-PABA試験の結果とを比較検討した。結果、分泌頻度と分泌gradeはBT-PABA試験の結果と有意な正の相関を認めた。また、分泌頻度と分泌gradeは健常者より慢性膵炎患者で有意に低下していた。空間選択的IRパルスを用いたcine-dynamic MRCPでの膵液の流れは、BT-PABA試験の代用として非侵襲的に膵外分泌機能を評価できる可能性がある。

J Magn Reson Imaging. 2015 Apr 7. [Epub ahead of print]
Yasokawa K, Ito K, Tamada T, Yamamoto A, Hayashida M, Tanimoto D, Higaki A, Noda Y, Kido A

Age-Related Change of the Secretory Flow of Pancreatic Juice in the Main Pancreatic Duct: Evaluation With Cine-Dynamic MRCP Using Spatially Selective Inversion Recovery Pulse

膵臓の加齢に伴う形態的および機能的な変化は、いくつかの研究で報告されている。解剖学的には膵臓は加齢と共に萎縮し重量も減少していくことが知られている。また、臨床的には膵外分泌機能評価のためセクレチン負荷検査やERCPによる膵液吸引検査も知られている。これらの侵襲的検査と比較して、近年では空間選択的インバージョンリカバリー(IR)パルスを用いたcine-dynamic MRCPにより生理的な膵液の流れを可視化することが可能であることが示されている。今回我々は空間選択的IRパルスを用いたcine-dynamic MRCPにより非侵襲的に膵液の流れの加齢性変化を検討した。膵臓病の既往歴のない53症例を対象とし、分泌グレード、分泌頻度を40歳未満、40-70歳、70歳以上の3群間で比較検討した。結果、膵液の分泌グレード、分泌頻度は加齢に伴って有意に低下しており、膵外分泌機能低下が示唆された。以上より空間選択的なIRパルスを用いたcine-dynamic MRCPは、視覚的に、そして、非侵襲的に膵液の流れの加齢に伴う変化(膵外分泌機能低下)を示することができた。

Teruyuki Torigoe, Katsuyoshi Ito, Akira Yamamoto, Akihiko Kanki, Kazuya Yasokawa, Tsutomu Tamada, Koji Yoshida
AJR 2014; 202(5):1022–1026

Accumulation of Bile in the Gallbladder: Evaluation by means of Serial Dynamic Contrast-Enhanced Magnetic Resonance Cholangiography with Gadolinium Ethoxybenzyl Diethylenetriaminepentaacetic Acid.

本研究の目的は、肝機能が正常な場合、投与された造影剤の約50%が胆道に排泄されるGd-EOB-DTPAを用いてダイナミック造影MR胆道撮影を施行し、造影剤の排泄過程から胆嚢への胆汁の集積パターンを評価し、さらにそれに影響を与える因子を明らかにすることである。肝疾患が疑われた75症例がGd-EOB-DTPA造影MRI検査を受けた。MRIは1.5T装置で多チャンネルのphased array coilを用いて撮像された。連続した多時相の肝細胞相の画像(横断像および冠状断像)が、胆管及び胆嚢内への造影剤の排泄過程を評価するために視覚的に調査された。胆嚢内への造影剤の排泄パターンを2つのグループ(順行型:胆嚢への造影剤の到達が総胆管末梢よりも早い、逆行型:総胆管末梢への造影剤の到達が胆嚢よりも早い)に分類した。さらにその2群間におけるT1強調像の高信号胆汁または胆泥、胆石、胆嚢壁の肥厚、慢性肝疾患および肝硬変の頻度およびChild-Pugh分類の分布の違いを比較した。75症例中48症例(64%)が順行型、27症例(36%)が逆行型であった。逆行型の症例におけるT1高信号胆汁または胆泥の存在の頻度は、順行型の症例に比して有意に高かった(P = 0.041)。Gd-EOB-DTPAで得られたMR胆管撮影は、胆嚢における胆汁の集積パターンと胆嚢に関する病理学的な状態との関連性を示した。

Gastroenterol Res Pract. 2014;2014:479067.
Tamada T, Ito K, Yasokawa K, Higaki A, Kanki A, Noda Y, Yamamoto A.

Tissue gadolinium deposition in hepatorenally impaired rats exposed to Gd-EOB-DTPA: evaluation with inductively coupled plasma mass spectrometry (ICP-MS).

肝腎障害ラットにおけるGd-EOB-DTPA曝露後の組織内ガドリニウム(Gd)沈着について,誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS:inductively coupled plasma mass spectrometry)を用いた定量的評価を行い,主要臓器・組織のGd分布を比較検討することで,腎性全身性線維症(NSF:nephrogenic systemic fibrosis)発症の危険性について評価した.

肝腎障害ラット(6/5腎摘及び四塩化炭素投与による肝線維化)にGd-EOB-DTPAの反復投与を行い,最終投与の7日後に皮膚、肝臓、腎臓、肺、心臓、脾臓、横隔膜、大腿筋を採取し、Gd含有量を測定,同時に組織学的評価を行った.対照群として腎障害ラットについて同様の評価を行った.

肝腎障害ラット群の腎臓,脾臓,肝臓におけるGd沈着(各42.6±20.1,17.2±6.1,8.4±3.2μg/g)は,腎障害ラット群(各17.2±7.7,5.4±2.1,2.8±0.7μg/g)と比較して有意に高値であった(P =0.009 ~ 0.047).肝腎障害ラット群におけるGd沈着量は,①腎臓②脾臓③肝臓④肺⑤皮膚⑥心臓⑦横隔膜⑧大腿筋の順であった.病理組織学的には肝腎障害ラット群で肝の線維化を確認した.

肝腎障害ラット群では,腎障害ラット群と比較してGd-EOB-DTPA曝露後の腎臓,脾臓,肝臓におけるGd沈着が有意に増加した.これは,腎障害ラット群では代償機構として機能しているGd-EOB-DTPAの肝胆道系への排泄が肝腎障害ラットでは障害されている為と考えられる.肝腎障害を有する患者では,腎・胆道系2つの排泄経路の障害がある為、Gd-EOB-DTPAの使用はより慎重に行う必要がある.

Radiol Med. 2015 Jan 9. [Epub ahead of print]
Sato T, Tamada T, Watanabe S, Nishimura H, Kanki A, Noda Y, Higaki A, Yamamoto A, Ito K.

Traumatic hypovolemic shock revisited: the spectrum of contrast-enhanced abdominal computed tomography findings and clinical implications for its management

Hypovolemic shockは重篤な鈍的外傷患者において複数の器官に十分な酸素供給が維持できなくなった状態である。多発外傷患者におけるHypovolemic shockの認識と迅速なマネージメントは、患者の予後と病態改善において重要である。一般的な造影CT所見は、腹腔内臓器の造影効果の減少、小腸内腔の拡張と粘膜の造影効果の増加、小腸壁肥厚と内腔の貯留液、IVCの扁平化と周囲の浮腫(halo sign)、大動脈径の縮小、膵臓の浮腫などで、膵臓では造影効果が増強するもの、減弱するもの、副腎では造影効果が増強するもの、不変なものの報告が見られた。本論文では、外傷性Hypovolemic shock患者で、一般および周知の腹部CT画像の特徴を提示し、膵臓と副腎のダイナミックCT所見の検討結果を明らかにした。

・小腸での壁肥厚は粘膜の透過性亢進による水分の間質への移行、粘膜の造影効果は潰瘍を予防する自己調節機能による。
・IVC周囲の低吸収として見られるHalo signは、透過性亢進による脈管外への液体の移動によるIVC周囲の細胞外液と考えられている。IVC扁平化はショックに対する交感神経系の反応である。
・大動脈径狭小化はアンギオテンシンIIの動脈血管収縮の効果と考えられている。
・膵周囲の浮腫や液体貯留は、血管内液の喪失と毛細血管膜透過性亢進のため、間質腔へ移動する蛋白質に関連があると考えられている。
・Hypovolemic shockでの副腎の造影効果は増強するものや不変なものが報告されているが、成人を用いた研究ではCT動脈相で副腎の平均CT値(137.3±41.7HU)が対照被験者のそれ(127.3 ± 19.6 HU)と著しく異ならないと報告した。そして動脈相CTと遅延相CTの間の副腎の造影剤wash out率がhypovolemic shock患者(35%)と対照被験者(34%)とで異ならないことを示し、遅延相CTでは正常副腎と類似の減少した副腎増強効果を示した。これらの所見は、hypovolemic shock患者では副腎の造影効果が維持されることを示唆する。
・外傷性hypovolemic shock患者のいくつかの臨床的調査では、造影CT動脈相で膵臓の造影効果の増強するもの、減弱するものが報告された。最近の研究ではdynamic CTの動脈相で膵臓の平均CT値は、hypovolemic shock患者(95.4 HU)では非hypovolemic shock患者(136.6 HU)より著しく低いと報告された。これは、膵臓灌流が非hypovolemic shockの対照被験者と比較してhypovolemic shock患者で、造影CTの動脈相で減少することを示す。後期相CTでは遅延性もしくは持続性の造影効果を示した。膵臓の低灌流は、脳や腎臓のような重要臓器への血流量を維持するための膵臓の動脈収縮に対して、著明な造影効果は重篤な非代償性ショックによる自己調節メカニズムの障害を暗示する可能性がある。

結語として、hypovolemic shockに関連した腹部造影CT所見の認識は、放射線科医にhypovolemic shockの状態における腹部臓器の病態生理学的な変化を理解させ、かつhypovolemic shockの臨床重症度の正確な診断に関与することができる。さらに、臨床的重症度の認識は、hypovolemic shock患者のために最も適切なマネージメントを提供する。

Higashi H, Kanki A, Watanabe S, Yamamoto A, Noda Y, Yasokawa K, Higaki A, Tamada T, Ito K.
Jpn J Radiol. 2014 Oct;32(10):579-84.

Measurement of renal cortical thickness using noncontrast-enhanced steady-state free precession MRI with spatially selective inversion recovery pulse: Association with renal function.

腎機能低下症例において腎皮質が有意に萎縮することが言われているが、従来の撮像法では腎皮髄境界が不明瞭化し、皮質厚測定が困難ことが多い。今回我々は空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIが施行され、慢性肝疾患を持たない患者65症例を対象として空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIと従来の撮像法であるT1強調画像(in phase)との腎皮髄境界明瞭化に対する比較検討を行った。結果として空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIは、従来の撮像法では腎皮質測定が困難な腎機能低下症例においても、腎皮髄境界を明瞭化することで腎皮質測定を可能にし、非侵襲的に腎機能を評価することができると考えられる。

Noda Y, Ito K, Kanki A, Tamada T, Yamamoto A, Yasokawa K, Higaki A.
J Magn Reson Imaging. 2014 Jul 28. doi: 10.1002/jmri.24719. [Epub ahead of print]

Renal Corticomedullary Differentiation by Non-contrast-enhanced MR Imaging with a Spatially Selective IR Pulse at Various Inversion Times: Comparison with Fast Asymmetric Spin Echo (FASE) and Steady-state Free-precession (SSFP).

近年、腎皮質の厚みと腎機能には強い相関があることが報告されており、皮髄境界を明瞭化させることは重要である。今回、我々は空間選択的IR(Inversion Recovery) pulse法を併用した非造影MRIを行い、Fast asymmetric spin echo (FASE) と steady-state free-precession (SSFP)の異なるシークエンスで腎皮髄境界明瞭化の比較検討を行った。空間選択的IR法を併用した非造影MRIが施行された17症例を対象とした。inversion times (TIs)を500-1800msec の間で変化させ撮像を行った。皮質・髄質の信号比(SI cortex/medulla)を算出し、最も高い皮質・髄質の信号比を示したTIを最適TIとした。最適TIにおける皮質・髄質の信号比および視覚的評価を行った。皮質・髄質の信号比はFASE法を併用した非造影MRIで有意に高値であった。視覚的評価ではSSFP法を併用した非造影MRIで有意に良好であった。空間選択的IR法を併用した非造影MRIでは、FASE法とSSFP法で異なる利点がみられた。今後、腎皮髄境界が不明瞭化してしまう様々な病態における腎機能評価では、2つのシークエンスを補完的に使用する必要があると思われた。

Kanki A, Ito K, Tamada T, et al. Magnetic resonance in medical sciences : MRMS : an official journal of Japan Society of Magnetic Resonance in Medicine 2014;

Prognosis of small hepatocellular nodules detected only at the hepatobiliary phase of Gd-EOB-DTPA-enhanced MR imaging as hypointensity in cirrhosis or chronic hepatitis.

慢性肝疾患患者において,動脈相で早期濃染像は示さずに,肝細胞相で相対的低信号を示す乏血性結節性病変は,これまでの組織学的検索から早期HCCと診断されることが多いが,10~30%の頻度で異型結節(dysplastic nodule)の場合もあり,画像上,両者の明確な鑑別は困難とされている。これらの結節は”high risk nodule”と定義され,将来的に臨床的悪性化(多血化)をきたす可能性のある結節として,Gd-EOB-DTPA造影MRI所見に基づいた経過観察や治療方針の決定を行うことが合理的であると考えている。多施設からの報告では、High risk nodule の経過観察中の多血化率は11.9~35.1%とされており,多血化予測因子として,初回結節径,結節内脂肪成分の存在,拡散強調画像での高信号、年間増大幅があげられている。しかしながら、これらの初期所見を有するhigh risk noduleは、すでに脱分化した肝細胞癌を示唆する所見であり、生物学的には多血化しているにもかかわらず,画像上,多血化がとらえられていないだけと考えるのが妥当かもしれない。これまでの研究では、血管相やT1強調像、T2強調像、拡散強調像などの他のシーケンスで描出されず、純粋に肝細胞相でのみ相対的低信号を示す乏血性結節性病変の多血化に関しては報告されていない。我々はこれらの結節を“Strict High Risk Nodule”と定義し、多血化の頻度と危険因子を検討した。

対象患者は139症例、対象結節数は60結節であった。これらの結節の経過を追跡し、CT、またはMRIの動脈相で濃染像が確認された時点で多血化と判断し、観察を終了した。リスク因子として初回の腫瘍径、年間増大幅、経過観察期間、年齢、性別、肝硬変の有無、過去の治療歴の有無、同時多発病変の有無を検討項目とし、多血化群、非多血化群の2群間で比較検討した。

平均観察期間は372.5±356.1日(47–1,366)であり、観察期間内に多血化した結節の割合は16.7 %(10/60)であった。年間増大幅(P= .003)、経過観察期間(P= .039)は多血化のリスク因子として2群間で有意な相関が認められた。

結論として、慢性肝疾患患者において、肝細胞相でのみ低信号を示す乏血性結節は高頻度で多血化を示し、経過観察中の重視すべき所見としては年間増大幅があげられた。

Eur Radiol. 2014 Jul 17. [Epub ahead of print]
Higaki A, Ito K, Tamada T, Sone T, Kanki A, Noda Y, Yasokawa K, Yamamoto A.

High b value (2,000 s/mm2) diffusion-weighted magnetic resonance imaging in prostate cancer at 3 Tesla: comparison with 1,000 s/mm2 for tumor conspicuity and discrimination of aggressiveness.

近年、前立腺癌の腫瘍検出や悪性度の評価における拡散強調像の有用性が多数報告されている。一方、従来の1.5T装置でstandard b値を用いた拡散強調像は、腫瘍検出や悪性度の評価においていまだ限界があり改善の余地がある。これに対して高いb値を用いた撮像が望まれるもののS/Nの低下が問題となる。そこで1.5T装置に比して2倍のS/Nを有する3T装置で、より高いb値を用いた拡散強調像を実施し、前立腺癌の腫瘍描出能と悪性度の評価における有用性を評価した。対象は、前立腺生検または前立腺全摘術で前立腺癌と診断された50症例(平均年齢70歳)。MRIは3T装置で多チャンネルのphased array coilを用いて撮像された。撮像シークエンスはT2強調像、拡散強調像および造影ダイナミックで、拡散強調像はstandard b値(0 and 1000 s/mm2)とhigh b値(0 and 2000 s/mm2)の2種類を撮像し、1) 定性(lesion conspicuity score (LCS))および定量評価(tumor-normal SI ratio (TNR))を用いた腫瘍描出能および2) 組織学的な腫瘍悪性度の指標であるグリーソンスコア(GS)と拡散強調像から得られるADC(みかけの拡散係数)との相関係数を比較した。その結果、1) 腫瘍部のLCSおよびTNRはいずれもhigh b値がstandard b値に比べて有意に高かった。2) ADCとGSの相関係数はhigh b値は0.645、standard b値が0.602であった。さらにADCのカットオフ値をhigh b値で0.92、standard b値で1.16と設定した場合の有意癌と非有意癌の識別感度は、それぞれ82%、77%であった。3T装置を用いたhigh b値拡散強調像はstandard b値拡散強調像に比して、前立腺癌の病巣描出能を改善し、かつ非侵襲的に高い感度で有意癌と非有意癌を識別できる。

PLoS One. 2014 May 6;9(5):e96619
Tamada T, Kanomata N, Sone T, Jo Y, Miyaji Y, Higashi H, Yamamoto A, Ito K.

Assessment of physiologic bile flow in the extrahepatic bile duct with cine-dynamic MR cholangiopancreatography and a spatially selective inversion-recovery pulse.

空間選択的IRパルスを併用したシネダイナミックMRCPにより、生理的な肝外胆管内の胆汁の流れを非侵襲的に可視化し、その胆汁の流れのパターンを評価した。

対象は、膵胆道疾患のない35症例と、肝外胆管に拡張のある11症例。空間選択的IRパルスを併用したシネダイナミックMRCPは、15秒毎に1回撮像され、5分間に20回撮像された。

順行性の胆汁の流れは、正常群では35症例中29症例(83%)、胆管拡張症例では11症例中5症例(46%)で観察され、正常群で有意に高い結果であった(p=0.014)。順行性の流れの回数や流れた長さ(Grade)は、正常群で有意に高い結果であった(4.4回 vs 1.8回: p=0.029, and 0.44 vs 0.14: p=0.033)。逆行性の胆汁の流れは、正常群35症例中26症例(74%)で観察された。

空間選択的IRパルスを併用したシネダイナミックMRCPは、肝外胆管内の胆汁の流れを、薬剤を使用せずに、非侵襲的に可視化することができる手法である。今回の研究で、肝外胆管内の逆行性の胆汁の流れが生理的な現象であることがわかった。

Ito K, Kanki A, Yamamoto A, Tamada T, Yasokawa K, Tanimoto D, Sato T, Higaki A, Noda Y, Yoshida K.
Radiology. 2014 Mar;270(3):777-83.

Hypovolemic shock complex: does the pancreatic perfusion increase or decrease at contrast-enhanced dynamic CT?

Hypovolemic shockは血管内血液量減少により有効な組織灌流が維持できない循環機能不全の状態である。その結果、生命器官機能の変化が見られる。これまでhypovolemic shock患者の造影CTで膵臓の形態変化の報告が見られ、またその造影効果に関しては、造影効果増強を示す報告や、造影効果減弱を示す報告があり詳細は不明である。今回我々はhypovolemic shock患者のダイナミックCT所見の臨床的関連を検討した。Hypovolemic shock患者のダイナミックCTの早期相、後期相で、頭部、体部、尾部での膵実質のCT値を測定、それらの平均値を算出し、健常者と比較した。ダイナミックCT早期相の平均CT値は、健常者と比較してhypovolemic shock患者で有意に低かった。ダイナミックCT後期相の平均CT値は、健常者と比較してhypovolemic shock患者で有意に高く、遅延性もしくは遷延性膵臓造影効果を示した。膵臓の造影効果の変化は、重要臓器(例えば脳や肺)の血流を保持することに起因する可能性がある。ダイナミックCT早期相での低灌流は代償性病態を示す可能性があり、このCT所見の熟知は、膵損傷との誤った診断による不必要な開腹術を回避する手助けとなる。

Clin Imaging. 2013 Oct 17. [Epub ahead of print]
Hiroki Higashi, Tsutomu Tamada, Akihiko Kanki, Akira Yamamoto, Katsuyoshi Ito.

Age-Related Change in Renal Corticomedullary Differentiation: Evaluation With Noncontrast-Enhanced Steady-State Free Precession (SSFP) MRI With Spatially Selective Inversion Pulse Using Variable Inversion Time

腎皮質の厚みと腎機能は相関関係が有るとされているが、腎機能が低下している場合、皮髄境界は不明瞭となり、正確な測定は困難である。正常腎を対象とした過去の我々の研究では、空間選択的IR(Inversion Recovery) pulseを併用した非造影MRIを用いることで、通常のMRI撮像法よりも腎皮髄境界を明瞭化させることに成功している。今回我々は、腎の加齢性変化について、明らかな腎疾患や血管性病変を有さなかった48症例を対象に、本撮像法を用いて検討した。結果、本撮像法における腎皮髄境界を最も明瞭化させるTI(最適TI)は加齢に伴って有意に低下したが、年齢に対し、腎皮質の厚みや、腎皮質・髄質の信号比に於いて、明らかな相関を認めなかった。以上の結果は、本撮像法を用いて皮質の厚みと腎機能の相関関係を推定する上で年齢を加味する必要がないことを示している。

J Magn Reson Imaging. 2013 Aug 5.[Epub ahead of print]
Yasufumi Noda, MD*, Akihiko Kanki, MD, Akira Yamamoto, MD, Hiroki Higashi, MD, Daigo Tanimoto, MD, Tomohiro Sato, MD, Atsushi Higaki, MD, Tsutomu Tamada, MD, and Katsuyoshi Ito, MD

Diffusion-weighted MRI and its role in prostate cancer.

近年、前立腺癌の腫瘍検出・局在、病期診断におけるmultiparametric MRIの有用性が多数報告されている。この手法は従来の形態学的な情報を画像化したT2強調像に、組織の灌流を意味するダイナミック造影像、組織内水分子の拡散状態を画像化する拡散強調像や組織の代謝状態を示すMRスペクトロスコピーといった機能画像を加えて評価する。特に、拡散強調像(DW-MRI)は、造影剤の使用もなく短時間で撮像できる非侵襲的な画像診断法であり、組織内水分子の拡散状態を定性(視覚的)だけでなく拡散係数(ADC(みかけの拡散係数))を用いて定量的に評価することが可能で、前立腺癌に対して様々な臨床的有用性が示唆されている。この総説では、そのDW-MRIの原理、画像評価、前立腺癌の診断における有用性(腫瘍検出・局在、局所病期診断、腫瘍悪性度の評価、治療後の再発診断)、臨床応用および将来の方向性について概説した。

NMR Biomed. 2013 May 27. doi: 10.1002/nbm.2956. [Epub ahead of print]
Tamada T, Sone T, Jo Y, Yamamoto A, Ito K.

Tissue gadolinium deposition in renally impaired rats exposed to different gadolinium-based MRI contrast agents: Evaluation with inductively coupled plasma mass spectrometry (ICP-MS).

Gd-EOB-DTPAおよび他のGd系MRI造影剤暴露後の腎障害ラットにおいて、組織のGd沈着をICP質量分析にて定量化し、腎性全身性線維症(NSF)の誘因となりうる主要臓器のGd分布の違いについて比較検討した。合計15匹の腎障害ラットにGd-EOB-DTPA、Gd-DTPA-BMA、Gd-HPDO3Aを注入した後、皮膚、肝臓、腎臓、肺、心臓、脾臓、横隔膜、大腿筋のGd含有量を測定し、同時に組織学的評価を行った。すべての組織においてGd-DTPA-BMA群のGd沈着が有意に高く(P=0.005~0.009)、腎臓(1306±605.7 µg/g)、皮膚、肝臓、肺、脾臓、筋肉、横隔膜、心臓の順に沈着が強く認められた。Gd-HP-DO3A群とGd-EOB-DTPA群の比較では、Gd-EOB-DTPA群における腎臓、肝臓、肺へのGd沈着が有意に低かった(P=0.009~0.011) 。Gd-EOB-DTPAは他のGd系MRI造影剤に比べ、腎障害モデルラットの主要臓器へのGd沈着は軽微で、安定・安全な造影剤である。これはGd-EOB-DTPAの使用によるNSF発症のリスクが低い事を示唆している。

Magn Reson Imaging. 2013 Apr 30. [Epub ahead of print]
Sato T, Ito K, Tamada T, Kanki A, Watanabe S, Nishimura H, Tanimoto D, Higashi H, Yamamoto A.

Newly developed hypervascular hepatocellular carcinoma during follow-up periods in patients with chronic liver disease: Observation in serial gadoxetic acid–enhanced MRI.

慢性肝炎に発病する肝細胞癌は多段階発育すると言われている。肝細胞特異性造影剤(Gd-EOB造影剤)を用いた造影MRIの肝細胞相がこれまで指摘困難であった多段階発育における多血化前の早期肝細胞癌または前癌病変を描出している可能性があることを報告した論文が散見される。今回我々は複数回のGd-EOB造影MRIを施行している慢性肝疾患症例の中で多血化したHCCが認められた症例をその時点から時間をさかのぼって観察し、肝細胞相を含めたMRIのいずれの撮像でも信号変化を指摘できない段階まで確認できた病変をNewly developed HCCとして対象病変とし、多血化までの肝細胞相における変化を観察した。結果、多血化前に肝細胞相で低信号病変(high risk nodule)として描出される期間を有する病変の頻度は約1/3(34.4%)であった。High risk noduleを経て多血化するHCCは突然多血化するHCCに比べて多血化した時点での大きさが有意に小さかった(9.5mm vs 16.4mm)。High risk noduleを経て多血化するHCCにおいて、多血化前のhigh risk noduleは初回発見時の大きさ(平均5.4mm)から多血化時点の大きさ(平均9.5mm)と2倍弱に大きさが増大し多血化した。またその期間は平均330.7日であった。HCCは多血化する前に少なくとも約1/3の病変でhigh risk noduleとして描出される期間が存在しており、high risk noduleが認められた場合は十分に経過観察する必要がある。

AJR Am J Roentgenol. 2013; 200 (6):1254-1260.
Yamamoto A, Ito K, Tamada T, Higaki A, Kanki A, Sato T, Tanimoto D.

Magnetisation transfer MR imaging of the kidney: evaluation at 3.0 T in association with renal function.

Magnetisation transfer (MT) MRIは組織の磁化移動による効果を画像化したもので、腎臓はMT効果の高い臓器の1つである。本研究では腎機能評価におけるMT-MRIの有用性について、3.0T-MRIにて検討を行った。44症例に対し、腎臓のMT-MRIを施行し、腎皮質と腎髄質におけるMT ratio (MTR)を算出し、eGFR値と比較検討した。腎皮質のMTRとeGFR値との間には良い相関がみられた。eGFR低下群における腎皮質の平均MTR はeGFR正常群の平均MTRと比較して有意に高かった。腎髄質の平均MTRについては両群で有意な差はなかった。このことから、3.0T-MRIでのMT-MRI法は非侵襲的な腎機能評価法として臨床応用できる可能性がある。

Eur Radiol. 2013 Apr 17. [Epub ahead of print]
Ito K, Hayashida M, Izumitani S, Fujimine T, Onishi T, Genba K.

 


Quantitative evaluation of acute renal transplant dysfunction with low-dose three-dimensional MR renography.

移植腎の急性期合併症の主な疾患として急性拒絶反応と急性尿細管壊死が挙げられるが、両者の鑑別は臨床上非常に難しいうえに治療法が異なる。現在の唯一の鑑別方法は腎生検であるが侵襲的である。今回我々は低用量造影MRレノグラフィーを用いて術後診断能評価したところ、急性拒絶反応では皮質、急性尿細管壊死では髄質の平均通過時間が有意に延長していることが分かった。MRレノグラフィーは急性拒絶反応と急性尿細管壊死の鑑別に有用である可能性が示唆された。

Radiology. 2011 Sep;260(3):781-9. Epub 2011 Jul 19.
  Yamamoto A, Zhang JL, Rusinek H, Chandarana H, Vivier PH, Babb JS, Diflo T,John DG, Benstein JA, Barisoni L, Stoffel DR, Lee VS.

Prostate cancer detection in patients with total serum prostate-specific antigen levels of 4-10 ng/mL: diagnostic efficacy of diffusion-weighted imaging, dynamic contrast-enhanced MRI, and T2-weighted imaging.

前立腺癌に対するPSA検診の普及に伴い、比較的軽度の上昇(4-10 ng/mL)にとどまるグレーゾーンPSA症例が増加している。一般にこの領域の患者では系統的前立腺生検による癌検出の陽性的中率が約3割程度と低い。そこでグレーゾーンPSA症例での腫瘍検出におけるmultiparametric MRI(T2強調像、拡散強調像、造影ダイナミック)の有用性を検討した。その結果、グレーゾーンPSAを示す症例における前立腺MRIの各撮像法の腫瘍検出能は、低い感度と高い特異度を示した。低感度の原因としては、腫瘍サイズや前立腺腫瘍内の組織不均一性の存在が挙げられた。しかしながら各々の撮像法を組み合わせて評価すると、特に患者単位の検討では83%まで感度が上昇した。一方、各撮像法単独でのみ診断できた腫瘍が、MRIで診断できた腫瘍の約3割も存在し、いずれも欠くことのできない撮像法であることが示唆された。以上より、multiparametric MRIは、グレーゾーンPSAを示す症例の前立腺癌の検出や生検の適応決定のような患者のマネージメントに対して泌尿器科医に有益な情報を提供する可能性がある。

AJR Am J Roentgenol. 2011 Sep;197(3):664-70.
  Tamada T, Sone T, Higashi H, Jo Y, Yamamoto A, Kanki A, Ito K.

The secretory flow of pancreatic juice in the main pancreatic duct: visualization by means of MRCP with spatially selective inversion-recovery pulse.

これまで生理的な膵液の流れを直接描出し、さらに排出動態(排出のタイミングや規則性、頻度など)を評価する画像診断法はほとんどなかったが、空間選択的インバージョンリカバリー(IR)パルスを用いたMRCPでは生理的な膵液の流れを可視化することが可能である。この撮像を連続的に繰り返すcine-dynamic MRCPにより、正常膵では膵液排出はかなり頻回に行われているが、膵液が排出されるタイミングは間欠的で不規則であることがわかった。空間選択的IRパルスを用いたcine-dynamic MRCP法は、膵外分泌機能評価の新たな指標として臨床的に有用な手法となりうる可能性が示唆される。

Radiology. 2011 Nov;261(2):582-6. Epub 2011 Aug 9.
  Ito K, Torigoe T, Tamada T, Yoshida K, Murakami K, Yoshimura M.

Dynamic contrast-enhanced CT of the abdomen to predict clinical prognosis in patients with hypovolemic shock.

Hypovolemic shockは、臓器に重大な障害を引き起こしてしまう緊急性の高い状態である。CT所見は、外傷や重要臓器の虚血の程度を把握するために重要な役割を果たしてきた。しかしながら、Hypovolemic shock患者の予後に関連したCT所見を検討した報告はなく、これを検討した。早期相、後期相で各臓器(脾臓、肝臓、膵臓、腎臓(皮質・髄質)、副腎)のCT値を計測し生存群と死亡群で比較検討を行った。腎髄質の後期相でのCT値は死亡群で有意に低値であった。脾臓の早期相でのCT値は死亡群で有意に低値であった。その他の臓器でのCT値には、2群間で明らかな有意差はみられなかった。この結果はHypovolemic shock患者の予後不良の有効な予測因子と考えられる。これらの所見を理解することは、早期に重篤なHypovolemic shock患者を認識し、適切な治療を行うために重要であると思われた。

AJR Am J Roentgenol. 2011 Dec;197(6):W980-4.
  Kanki A, Ito K, Tamada T, Higashi H, Sato T, Tanimoto D, Higaki A.

Serial 3-dimensional volumetric computed tomography evaluation of lung cancer growth rate in patients with chronic obstructive pulmonary disease findings.

この研究の目的はCTで肺気腫や気管支壁肥厚といったCOPD所見を有する患者に発生した肺癌のdoubling time(n=26)とCOPD所見のない患者に発生した肺癌のdoubling time(n=19)を三次元的に比較した研究である。我々の検討では肺気腫の程度やparaseptal emphysemaを有する患者において肺癌のdoubling timeが短い傾向にあった。日常診療において肺気腫を合併した肺癌に遭遇した場合、肺気腫のない患者よりも厳重にfollow upする必要がある。

J Comput Assist Tomogr. 2012 Mar-Apr;36(2):181-6.
  Tanimoto D, Ito K, Tamada T, Higaki A, Kanki A, Sato T, Noda Y, Higashi H, Nakata M.

Age-related changes in normal adult pancreas: MR imaging evaluation.

膵臓は機能的にも形態学的にも加齢に伴い変化するとされ、超音波やCTを用いた膵加齢性変化の検討の報告はあるが、MRIを用いた報告はなく、これを検討した。MRI上、加齢に伴い膵前後径は縮小、形態は分葉化し、脂肪化が進行した。この結果は、膵臓の画像診断に有益な情報を提供し、特に高齢者における急性膵炎や慢性膵炎のMRI診断の一助になると考えられる。MRIで膵疾患を診断する際、加齢性変化が存在する事を念頭に置く必要がある。

Eur J Radiol. 2012 Sep;81(9):2093-8. Epub 2011 Sep 8.
  Sato T, Ito K, Tamada T, Sone T, Noda Y, Higaki A, Kanki A, Tanimoto D, Higashi H.


 

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