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一般・患者向け

がん治療

“がん”の治療内容などについて、分かりやすくQ&Aで解説します。

胃がん

Q1.胃がんにはどんな種類のがんがあるのでしょうか?

胃がんの組織型は大部分が腺がんです。この腺がんの中には分化型と未分化型があり性質が若干異なります。分化型は管状腺がんなど、未分化型は印環細胞がんがその代表で、未分化型のがんは悪性度が高い(進行しやすい)といわれています。

Q2.胃がんにかかるとどんな症状がでるのでしょうか?

早期ではほとんどの場合症状を認めません。人によっては、たまたま潰瘍があるなどで早期から症状が出る場合もありますが、多くの場合自覚症状が出現するのは進行してからです。進行がんであってもまったく症状の無い場合もあります。がんが進行するとがん組織がくずれた部分からの出血があったり、がんが胃の内腔を占居し、通過障害(食べれない、食べると吐いてしまう)が生じたりします。この場合、がんはすでにリンパ節や腹膜に広がっている可能性が高くなります。

Q3.胃がんにはどんな治療がありますか?

がんの進行度によって変わってきます。詳しくは日本胃がん学会の編集した胃がん治療ガイドライン(第2版2004年4月改訂:金原出版株式会社\900)に述べられています。

  1. ごく早期(粘膜内に留まる)のがんは内視鏡で切除することが可能です。現在は少し粘膜下層に浸潤した一部のがんも内視鏡での切除が検討されています。
  2. 進行がんでは基本的に胃切除(手術)と予防的リンパ節郭清(リンパ節を胃と一緒に一塊に切除する)が推奨されます。摘出した組織を病理学的検査(顕微鏡でがんの型、進行度、リンパ節への転移の検査)を行った後に、必要に応じて補助化学療法(胃切除の後に行う抗がん薬治療)を行うことになります。
  3. がんが進行して、切除が不可能、あるいは切除してもがんがとりきれない場合には化学療法を行います。

しかしながら、1と2の間の場合、すなわち内視鏡下切除の適応ではないが、進行がんとして治療するには切除範囲が大きすぎるという場合も多くあります。あるいは大きくお腹を開いて手術をする必要が無い場合もあります。われわれは、できるだけ低侵襲(体への負担が少ない)手術や機能温存(胃の機能を残す)手術を行って手術後の生活の質を改善する方法に取り組んでいます。

また、3の場合のような切除不能の進行がんに対しては、可能な限り切除を行い経口摂取ができる状態になった後に積極的に薬剤を併用して通院(通院治療センター)での治療を継続しております。

Q4.胃切除にはどのような方法がありますか?

胃切除術の基本は、幽門側胃切除(胃の出口側2/3切除)術と胃全摘術です。この選択は、がんが胃のどの部位にあるか、がんにどれくらいの広がりがあるかで異なってきます。

進行がんであれば今のところこの2つの選択しかないのですが、内視鏡下切除の範囲をやや越えた早期がんにおいては腹腔鏡を用いて、迷走神経を温存しながら幽門側胃切除を行う神経温存腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を行っています。この場合、皮膚切開は約5cmですみます。また、胃の入り口にあるがんに対しては下部食道括約筋と迷走神経を温存した噴門部局所切除術を行っております。この場合、胃の切除範囲が小さく、小胃症状(食事が少ししか食べれない)を防ぐことができます。

がんがはじめに転移するであろうリンパ節(センチネルリンパ節)を同定して、この領域のリンパ節を郭清し胃はがんの存在部分を局所的に切除する方法も取り組んでいます。この場合、胃は局所切除ですみます。

食道に浸潤した進行がんの場合、下部食道を含めて胃を切除する拡大胃全摘術があります。左の胸を開けて行うこともありますが、われわれは胸を開けずにこの手術を行っています。

Q5.胃切除を行った後の生活はどうなりますか?

胃切除後には物が食べられるのだろうか、流動食しか食べられないのでは?と疑問に思われる方が意外に多くおられます。また、日常生活はもとより、仕事もできなくなるのではと不安になる方もおられます。

確かに、胃がなくなったり小さくなったりすると、すぐには手術前と同じように食べることができません。胃を切除しますと貯留する(食べたものを貯める)機能が著しく低下します。 つまり食物がいきなり小腸に入ります。このためダンピング症状(食後に腹痛、気分不良、紅潮感を感じる早期症状と、食後2時間程度経って動悸やめまいといった低血糖症状を感じる症状)や腹満感、下痢などが生じることがあります。そのため、1日の必要な摂取量を3回ではなく5-6回に分けて食べていただき、さらに1回の食事に時間をかけてよく噛んで食べるということが必要となります。しかし、時間の経過によって(半年から1年をかけて)だんだんと落ち着いてくるのが普通です。

40代−50代の働き盛りの方も多くいらっしゃります。皆さま仕事をしなくては家族を養えません。そうした方々も多くは早期に職場に復帰され、元気に仕事を継続されております。若い方ほど慣れるのが早いように思います。

皆さまの回りにも胃切除を行った方がおられるかもしれませんが、普通の生活をなさっておられる方が多くはないでしょうか。

Q6.手術を受けた場合の入院期間はどれくらいでしょうか?

検査を入院で行うか、外来で行うかで異なります。また、がんの進行度に応じて検査の数も変わってきます。入院での検査の場合約10日が必要です。術後ですが、クリニカルパス(治療計画)に沿って治療を進めます。現在のところ、幽門側胃切除術で2週間、胃全摘術で3週間の退院するクリニカルパスを用いています。 先に述べましたように、機能温存・低侵襲術式も行っており、こうした場合は少し短くなります。また進行がんの場合、化学療法を引き続き行います。補助化学療法の場合は1週間の追加入院が必要になりますがこれは副作用をチェックするためです。

Q7.化学療法とはどのようなものでしょう。

化学療法には大きく分けて2つの方法があります。

切除術後に行う補助化学療法と切除ができない場合や転移・再発をきたした場合に行う化学療法)の2つです。

昨年、経口抗がん薬であるTS-1という抗がん薬が病期・靴僚儻經擬圓5年生存率を10%上乗せするという報告(ACTS-GC trial)が初めて世界に向けて発表されました。われわれもこの5年間、進行がんの補助化学療法として積極的にTS-1の投与を行っております。

この薬は有効であるものの副作用も強いことが知られています。われわれは副作用の少ない投薬法に関する研究を行っています。

切除できないか再発した胃がんに対しては、TS-1単独では効果が40% しか期待できません。そこで、TS-1とほかの抗がん薬(現在、胃がんに対して有効であると認められているパクリタキセル、イリノテカン、シスプラチン、ドセタキセルなど)と併用することでより高い治療効果を求めています。

具体的にはまずTS-1とパクリタキセルの併用(自主臨床試験)、シスプラチンとイリノテカンの併用など各抗がん薬を患者さんの状況に応じて投与しております。

また、がん集学的治療財団やSAMIT trialなど大規模臨床試験にも参加して新しい治療法の正しい評価を念頭においた化学療法を行っております。

充実したスタッフ・設備の通院治療センターを併設しており、できるだけ外来での化学療法を行い、日常生活を変わりなくすごしていただくことを心がけています。

Q8.胃がんに対する治療(手術)はどのような方針で行っていますか?

われわれは、患者さんに“早く元気になり、長く元気でいてもらいたい”と願いをこめて手術を行っております。そのためには患者さんの年齢、心臓・肺・肝臓・腎臓など各臓器の状態、糖尿病など他の疾患との合併などを十分吟味し、どの手術法がふさわしいかを検討いたします。また、化学療法もできるだけQOL(生活の質)を保ち、なおかつ効果を期待できる治療法を、それぞれの方の状態・状況に応じてできるよう心がけています。

最新の医療を用意すると同時に患者さんやご家族さまとよくお話をして納得のいく治療ができるように努力をしています。