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一般・患者向け

がん治療

“がん”の治療内容などについて、分かりやすくQ&Aで解説します。

肝がん

Q1. 肝臓がんにはどんな種類がありますか?

転移性肝がんと原発性肝がんの2つがあります。

転移性肝がんとは、胃がんや大腸がんなどの他の臓器のがん細胞が肝臓に広がった肝がんのことです。原発巣(元のがん)の状態などを総合的に判断し、治療方針を決めます。

原発性肝がんとは、肝臓に存在する細胞(肝細胞や胆管細胞など)ががん化したもので、約95%は肝細胞がんで、その他胆管細胞がん(肝内胆管がん)などがあります。B型肝炎やC型肝炎と関連しているのは、肝細胞がんです。

Q2. 日本での肝臓がんの患者数を教えてください。

慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がんなどを合計すると、日本での肝臓病患者は多く約200〜300万人と言われています。日本での肝細胞がんの年間死亡数は、男性が約2.5万人(死因3位)、女性が約1万人(死因4位)です。肝硬変の死亡数1.5万人も合わせると、肝臓病での年間死亡数は約5万人となっています。

Q3. 肝臓がんの原因を教えてください。

肝細胞がんの原因は、B型肝炎が15%、C型肝炎関連が75%で、合計約90%を占めます。アルコール飲酒や脂肪肝などが併発すると、発がん率がさらに上昇します。

Q4. 肝臓がんにはどんな症状がありますか?

肝臓がんに特徴的な症状はありません。肝機能には余力(予備能力)がかなりあるため、慢性肝炎や肝硬変でもほとんど症状がなく、肝細胞がんが発生しても大部分の方が症状がないため、肝臓は「沈黙の臓器」といわれています。

黄疸や腹水、意識障害(肝性脳症)などの肝不全症状は、肝臓病が進行し、悪化した症状で、末期に近い状態なのです。

したがって、無症状の時期に、次に述べる定期健診が重要と思われます。

Q5. 肝臓がんの早期発見の方法を教えてください。

健診が最も大切です。健診などでの血液検査で、肝機能(AST、ALTまたはGOT、GPT)異常を指摘されたら、近医にてB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスの血液検査を受けてください。B型またはC型肝炎を指摘されたなら、肝臓専門医を受診して、精密検査を受け、治療の必要性があるか否かなどを判断してもらってください。

肝細胞がんの早期発見の方法としては、血液検査と超音波(エコー)検査などの定期検査が重要です。

B型肝炎、C型肝炎の方、あるいは肝硬変の方には、肝腫瘍マーカー(αフェトプロテイン、PIVKA兇覆鼻砲1〜3カ月毎に採血検査することが勧められています。

また、腹部超音波検査は3〜6カ月毎に行います。造影CT検査やMRI検査は、病状に応じて6カ月〜2年毎に検査を行います。

肝炎、肝硬変の治療を受けながら、上記の間隔で、長期にわたる経過観察が、肝細胞がんの早期発見につながるものと思われます。

実際的には、近医の診療所で血液検査を受け、基幹病院では画像検査を受け、患者情報は共有するという病診連携が重要と思われます。

Q6. 肝臓がんには、どんな治療法がありますか?

肝機能の状態と肝臓がんの状態をみて総合的に治療方針を決めています。

  1. 手術(肝切除術)は肝機能が良好で、がんが一葉(肝右葉または左葉)に限局している場合に選択されます。
  2. 経皮的局所療法とは、局所麻酔下で皮膚からがん病変に治療針を穿刺し、がんを壊死させる治療法で、経皮的エタノール注入療法や経皮的ラジオ波焼灼療法などがあります。

    経皮的ラジオ波焼灼療法は12〜24分程度で直径3cm程度の球状の壊死が得られますので、がん病変が3cm以下3個以下の場合が治療適応です。

  3. 肝動脈塞栓術とは、局所麻酔下でカテーテルという細い管を皮膚から動脈内に入れ、さらに肝動脈内の腫瘍の栄養血管まで挿入し、そこから抗がん薬や塞栓物質(スポンジ様のもの)を注入し、腫瘍の栄養血流のみを遮断させ、がんを壊死させる治療法です。

    肝機能低下が中等度まであれば、肝細胞がんが両葉に広がっていても治療可能です。ただし、肝細胞がんが門脈(肝に流入する血管)内まで浸潤転移している場合には適応外となります。

  4. 化学療法とは抗がん薬治療のことですが、肝細胞がんが進展し門脈内にまで浸潤している場合や転移性肝がんにも行われることがあります。
  5. 抗がん薬の投与方法には、内服投与、点滴投与のほかに肝動脈から注入する動注療法があります。

  6. 肝移植とくに日本では生体肝移植が行われることがあります。肝機能が悪く(非代償性肝硬変)、がん病変が5cm以下の単発または3cm以下で3個以下の場合で、ドナーなど種々の問題が解決されれば、肝移植が行われます。
  7. その他、最近では放射線療法が進歩し、定位放射線治療や陽子線治療、重粒子線治療などが試みられています。
  8. 一方、上記のような治療を行っても、肝臓がんのために種々の苦痛を伴う場合がありますので、十分な緩和治療を併用する必要があるのは言うまでもありません。

Q7. 肝臓がんの治療後には何に注意したらいいですか?

肝細胞がんの治療後は、とくにC型肝炎に関連したがんでは、再発率が高いのが特徴です。治療して治っても、肝臓の別の場所に新しいがんができる可能性が1年間に約20%あります。したがって、再発しても早期発見できるように、治療後にも前述のような定期検査を受けることが大切です。

日常生活は、今まで通りにできますが、体重が増え脂肪肝になると再発の危険性が高くなります。またアルコールについても可能なら禁酒を勧めています。

C型肝炎の場合には、がんの再発を抑える目的で、がんの完治後にインターフェロンを行うことがありますので、肝臓専門医とよくご相談ください。

Q8. 肝臓がんが再発してしまった場合には、どんな治療法がありますか?

肝機能が良ければ、再手術や経皮的ラジオ波焼灼療法、肝動脈塞栓術など種々の治療法が選択できます。しかし、一度再発すると、次の再発までの間隔が短くなり、再発の個数も増えることが多いのです。

したがって、がんが再発しても十分な治療が受けられるように、肝機能を悪化させないようにすることが重要です。

Q9. 肝臓がんの予防法がありますか?

肝細胞がんは、慢性肝炎から肝硬変へと肝病変の進行に伴い、肝発がん率が上昇することが分かっています。したがって、肝炎の進展阻止が肝発がんの予防になります。

B型慢性肝炎に対する抗ウイルス治療としては、インターフェロン治療や核酸アナログ製剤(エンテカビルなど)の内服治療があります。抗ウイルス療法により肝炎ウイルスの活動性が低下すれば、肝発がんが予防されます。

C型慢性肝炎に対しては、最近ペグインターフェロンが開発され抗ウイルス効果が向上し、副作用が少なくなりました。またリバビリンの内服を併用することにより、肝病変の進展予防だけでなく肝発がん率が低下するものと期待されています。これらの治療は、肝臓専門医の指導の下で、受けるべきものと思われます。

インターフェロン治療を行ってもウイルス排除が困難であった場合やインターフェロン治療の施行が困難な高年齢者においては、肝庇護剤(ウルソデオキシコール酸やグリチルリチン製剤など)などにより、肝機能をできる限り正常化させることが、肝発がんの予防につながるものと考えられています。