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ドクターフォーラム

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第1回

更新:平成21年2月20日

第1回は、当院の胸部心臓血管外科の種本 和雄部長をご紹介いたします。

胸部心臓血管外科 種本 和雄部長

種本 和雄

Kazuo Tanemoto

副院長・胸部心臓血管外科 部長

旅行とスキー、学生時代はボート部でインカレに出場

1957年(昭和32年)7月18日生まれ・O型


時期を逃がすと助かる疾患でも命をおとすことがあります。異常を感じられたらできるだけ早期に受診してください。24時間365日体制にて診療させていただいております。

胸部心臓血管外科は呼吸器・縦隔などの胸部疾患と心臓疾患および、大動脈瘤、末梢動脈疾患(ASO、バージャー氏病など)、下肢静脈疾患などの血管疾患のおもに外科治療を担当する診療科です。低侵襲外科手術や無輸血手術などにも従来から力を入れており、「人に優しい外科手術」が教室の大きなテーマとなっています。それだけではなくて、患者さまのQOLに配慮した術式の選択に努めており、僧帽弁閉鎖不全症に対する手術では人工弁の使用を避けて、自己弁を温存する僧帽弁形成術の高い達成率を実現しており、他県の医療機関から僧帽弁形成術目的に紹介を受けることが多くなってきています。今後も海外の施設に派遣するスタッフを通じて最新の医療技術を導入することで、皆さまに世界レベルの診療を提供していきたいと考えています。

大変な時代を生き抜く

100年に一度とか、未曾有のとか言う枕詞のつく経済状態にあり、皆さまも大変なご苦労をされていることと存じます。また、経済だけでなく年金不安、不安定な政治状況など何を信じて生きていけば良いのか、途方にくれる時代です。我々医療者の世界も、医療崩壊、相次ぐ病院の閉院・撤退、さらに医師不足、医療福祉財源の削減などで大変な状況にあり、今まで保って来た高いレベルの医療を国民の皆さまに提供し続けられるのかと心配する毎日です。しかし、国民生活の根源を支える医療をダメにしてしまったら、立ち直りには相当の時間とエネルギーを要しますので、何とか皆さまと一緒になってこの難局を乗り切りたいと考えています。ご協力をよろしくお願いします。

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20年後に負けないために

「歴史は繰り返す」とよく言われますが、「日本の国は40年ごとに負けと勝ちを繰り返してきた」と言われるのは作家の半藤一利さんです(昭和史 半藤一利著 平凡社)。まず、1865年に欧米列強の圧力に負けて、わが国は長い鎖国政策を終えて開国することを余儀なくされました。欧米列強に対する最初の負けです。その40年後、1905年に日露戦争に大勝しました。欧米列強の最右翼であるロシアに勝ったということで、日本国民は俄然自信をもってしまいます。その40年後1945年には太平洋戦争に大敗し、国の存亡が危ぶまれるほどの負けを喫しました。ここまでが半藤さんのセオリーです。

ここからが私のセオリーですが、その40年後1985年、バブル経済の始まりです。当時、円高、低金利、金余りを背景にして欧米(主にアメリカ)の資産を買い漁り、「もはやアメリカに学ぶものはない」とか「政治は三流、経済は一流」などとよく言われました。これを勝ちとすると、現在は2025年の負けに向かって進んでいるちょうど真ん中にいることになります。それでは約20年後の2025年にわが国は何で負けるか。戦争でも経済でもありません。私は20 年後に日本は他国に対して教育で負けると思っています。なぜこのように考えるかと言うと、次世代の若者に対するわが国の教育が年々荒廃し、勉強を習う前に人間としてのマナーを備えていない若者が増えてきていると、近年とくに感じるからであります。この傾向は若者だけではなくて、その教育を行うべき大人の世界にも同様のことが言えるように感じています。

2006年に3カ月間にわたって英国に留学いたしました。そこで見たことですが、公共の場での親の躾は大変厳しく、子供がバスを降りるときに黙って降りようとすると「Say thankyou!(サンキューと言いなさい)」と叱っていたり、きちんとできない子供には「Be nice !(お利口にしなさい)」とか「Where are your manners? (お行儀はどこに行ったの)」などと、親は容赦なく叱っていました。また、バスの中で、ある若者に対して全くの他人が「Excuse me. Could you〜」と丁寧な言葉でマナー違反を注意しているのも見かけました。このように、親だけでなく社会として次世代を担う若者にマナーを教えようとしている姿勢をみて、感激した次第です。

社会としての人間教育がきちんと行われている英国をみると、わが国の将来はどうなるのだろうと心配にならざるを得ません。欧米人にない良いものをたくさん持っている日本であるだけに、20年後に教育で負けを喫することのないに、しっかりと若者を育てる必要があろうと思います。まず、大切なのは挨拶と基本的マナー。お互い、朝の「おはようございます」から始めて、若者の手本になっていきませんか。