感染性胃腸炎

  1. 感染性胃腸炎ってどんな病気?
  2. 感染性胃腸炎の症状・経過は?
  3. 感染性胃腸炎の予防法は?
  4. 医療機関で感染性胃腸炎と診断されたら

1.感染性胃腸炎ってどんな病気?
微生物(細菌,ウイルス,原虫など)の経口感染によって起こり、下痢や悪心,嘔吐、時に腹痛,発熱などの症状をきたす疾患群を指します。
汚染された水や食物の飲食を介した食中毒として起こる場合や、集団発生する場合もあります。
最も重要な合併症は脱水と電解質異常で、二次的に急性腎不全,ショック,重症不整脈などが起こることもあります。
重症化する症例の87%は細菌性であるといわれています。

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2.感染性胃腸炎の症状・経過は?
夏季に多い細菌性胃腸炎
a.感染型
感染後1-4日に起こることが多く、下痢,腹痛,発熱がみられます。
1)サルモネラ菌
生卵,半生の鶏肉,豚肉などの飲食やペットを介して感染します。
大部分は自然に治癒しますが、高齢者や免疫不全者では敗血症,感染性動脈瘤などの臓器感染を合併し重症になることがあります。
2)腸炎ビブリオ
夏に生の海産魚介類の食後に起こります。大部分は自然に治癒します。
3)カンピロバクター
半生の肉類の食後に多く、時に血便があり、虫垂炎と紛らわしい場合があります。
大部分は自然に治癒しますが、症状が強い場合マクロライド系抗菌薬を投与します。
4)腸管出血性病原性大腸菌(O-157など)
潜伏期:3-4日、下痢に引き続き血便を起こします。
時に高齢者,乳幼児などに溶血性尿毒症症候群を合併し重症化します。

b.毒素型
食後2〜24時間後に起こります。
悪心,嘔吐,腹痛,下痢を呈しますが、発熱は少ないです。
1)黄色ブドウ球菌
調理人の皮膚の化膿性病変などに由来。
自然に治癒します。
2)セレウス菌
室温に放置された食品を介します。
自然に治癒します。
3)ウェルシュ菌
肉,シチューの再加熱不十分な場合などに起こります。
自然に治癒します。
4)ボツリヌス菌
はちみつ,真空パックの辛子蓮根,郷土料理の飯寿司(いずし),熟寿司(なれずし)などからの感染例があり、潜伏期12-36時間後に神経毒により複視,視力障害,嚥下障害,構語障害,筋力障害が起こります。
重症化し抗毒素血清,呼吸管理,全身管理を必要とします。

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冬季に多いウイルス性胃腸炎
1.ノロウイルス
ウイルスで汚染された牡蠣などの二枚貝の経口摂取で感染し、1-2日の潜伏期の後、悪心,嘔吐,下痢を発症します。
大部分は1-2日で自然に軽快します。
軽快後も3日間は便中にウイルス排泄が続くため、患者や周囲の人の厳重な手洗いが必要です。
確定診断
@最近の旅行歴,A最近の飲食歴:生の魚介類,半生の肉類,生卵などの摂取の有無,B周囲に同様な症状の人の有無,C基礎疾患の有無 などが診断の助けになり、特に便の性状は、感染部位や原因微生物を推定するうえで重要な手がかりとなります。
血便は腸管出血性大腸菌やカンピロバクター,赤痢菌,腸炎ビブリオ,サルモネラなどでみられます。
腸管出血性大腸菌では鮮紅色の血便,アメーバ赤痢ではいちごゼリー状の粘血便がみられます。
これらは大腸の病変を示唆します。
水様便は多くの病原体でみられ、サルモネラ,カンピロバクター,腸炎ビブリオ,ロタウイルスの感染が推定されます。
激しい水様便は小腸の病変を示唆します。
確定診断は糞便の検査による病原体検出で行われます。
38℃以上の発熱,1日5-6回以上の下痢,血便,腹痛や嘔吐がある場合は検査対象となります。
腸管出血性大腸菌のベロ毒素は一般検査室で比較的早く診断できますが、細菌培養やウイルス分離で結果を得るには数週〜2ヶ月を要することがあります。
合併症
体力の低下などから症状が悪化したり、嘔吐物がのどに詰まったために、窒息したり肺炎などの二次感染を起こす場合がありますので、慎重な経過観察が必要です。
また、下痢や嘔吐がひどい場合、脱水症状や電解質異常を起こすことがありますので、水分補給につとめるとともに、早めに医療機関を受診する必要があります。

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3.感染性胃腸炎の予防法は?
1)手洗い・うがいの励行
最も基本的なことは、手洗い,うがいの励行です。
(特にトイレの後,便や吐物を処理した後,調理の前,食事の前など)
手洗いは石けんを使用し、しっかりと流水で洗い流します。
また、タオルの共用は止めペーパータオルなどの使用を考慮しましょう。
2)食品の十分な加熱
ウイルスや細菌は熱を加えると死滅するものが多いので、病原体が含まれている可能性のある食品は、中心部までよく加熱します。
3)消毒
調理器具の消毒が大切です。まな板,包丁,へら,食器,ふきん,タオル等は熱湯による消毒が有効です。
ノロウイルスは、逆性石けんや消毒用エタノールでは消毒効果が不十分なので、次亜塩素酸ナトリウム(商品名はハイター,ピューラックスなど、手の消毒には適さない)を用います。
感染の拡大を防ぐため、汚染した衣服や器具,施設なども消毒する必要があります。

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4.医療機関で感染性胃腸炎と診断されたら
感染性胃腸炎は、学校保健法上予防すべき伝染病と明確には規定されていません。
しかし、ウイルス性感染症を想定した流行性嘔吐下痢症が学校で流行するのを防ぐため、必要により学長が校医の意見を聞き、出席停止の措置をとる場合があります。
診断がつけば大学事務部か担任に連絡し、主治医の指示に従って自宅療養してください。

<引用資料>
今日の診療プレミアム
   Vol.17 ©2007 IGAKU-SHOIN
広島県感染情報センターHP

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川崎医療短期大学
学生保健衛生管理委員会編