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教室紹介

乳腺甲状腺外科学教室



講師:野村 長久(のむら つねひさ)

教育・社会貢献業績紹介
教育業績
学部:授業 【5年】臨床実習Ⅴ (通年[368])

(※[]内はコマ数)

 
社会貢献
学会運営に関する活動 第180回 岡山外科会

座長(年~)

セッション3 外科(乳腺) 座長

認定講習会、医師会、市民公開講座、産業界を対象とした講義・講演 みんなで読影しようマンモグラフィ

乳癌検診を行うにあたり、①疫学予防②マンモグラフィについて③検診の問題点と今後の展望について説明する。 現在、死因の第一位は悪性新生物であり、3人に1人は癌で死亡する。女性の癌の罹患率で最も多いのが乳癌であり、日本において1年間に約9万人が発症し、生涯女性の11人に1人は乳癌を発症することになる。女性の癌死因では第5位となっており、1年間に約2万人が乳癌で死亡する。それでも先進欧米諸国と比べ、日本は死亡率が少ないが、増加の一途をたどっている。 発症年齢については、妊娠関連乳癌や若年乳癌の報道が多く、若年発症が増加しているような印象はあるが、実は閉経後乳癌の割合が増えている。 乳癌の発症リスクについては、内分泌環境や遺伝性、良性疾患の既往、社会的階層、食生活などの関連が示唆されている。乳癌の発症リスクが増加する確実とされる項目として、アルコール、閉経後の肥満、未出産、若年期の高線量の被曝、良性増殖性疾患、家族歴、ホルモン補充療法があげられる。リスク減少させる確実な因子として、初産年齢が低いことや授乳期間が長いことが報告されている。食生活では様々な項目が検討されているが未だ確実にリスクを下げる項目はない。しかし、これらのリスク因子に該当していなくても乳癌の発症を抑えることは困難であり、大切なことは早期発見、早期治療である。 検診対象者だけでなく医療従事者も実際の症状を知ることは重要である。乳癌発見のサインにはしこりの自覚、皮膚の陥凹、乳頭びらん、乳頭異常分泌などがある。 視触診検診は以前から行われ、身体所見の異常を見つける努力はしてきたが、画像検査と比較して精度は高くない。乳癌診療に用いる画像診断には、マンモグラフィ、乳房超音波、MRI、PET/CTなどがあり、検診の場で最も用いられるのがマンモグラフィである。 マンモグラフィの所見には、腫瘤、石灰化、構築の乱れという3つの所見があり、さらに悪性度を評価するために5段階のカテゴリー分類が用いられている。 腫瘤では病変の辺縁の所見が重要であり、それは癌が周囲に浸潤するといった特徴が画像に表れている場合は特に悪性度が高く評価される(カテゴリーが高くなる)。 石灰化の所見では明らかな良性のものと良悪性の鑑別を要するものが存在する。良性の石灰化には粗大な石灰化や乳腺以外に分布する場合、特徴的な形態を有するものがあり、悪性を強く示唆する所見は、乳管の形を反映したような微細な形態(微細線状、分枝状)のものや乳腺の腺葉構造に沿った分布をしている場合である。 構築の乱れとはあまり聞きなれない用語であるが、マンモグラフィは乳房を圧迫板で挟んで撮影するため、病変部位が存在すると歪みが生じる。この歪みを構築の乱れといい、悪性の可能性が高い所見である。 また、読影する環境や画質が読影に少なからず影響することも熟知しておくべきである。 マンモグラフィと超音波の優劣についてはよく質問されることである。一般的にマンモグラフィは石灰化病変に強く、客観的に評価される。しかし、若年者に多い高濃度乳腺は精度が下がることは問題である。超音波検診は年齢による影響は受けにくく、病変の質的診断には強いが、一症例当たりに時間がかかり、多くの検診対象者をみることが難しい点や、人材不足、医療機器の質などの多くの問題を抱えている。 がん検診については、①有効性の確立した検診であること、②精度管理がされている③高い受診率の3本柱が重要である。 有効性の確立した検診とは、がん発見率が高いだけでは十分でない。検診を受ける利益が不利益より勝るものでなければならない。 この場合の利益とは死亡率の減少であり、不利益とは擬陽性、過剰診断、放射線被ばく、検査時の疼痛やコストが挙げられる。 精度管理が大切であるため、マンモグラフィの読影資格は試験に合格しなければならない。 検診における読影医が十分制度管理を行うことができれば、質の高い乳癌検診が提供できる。 検診受診率は国際的にみても、日本は他国より低い。なぜ我が国において検診受診率が低いのかは不明な点も多い。色々な取り組みが行われているが、成果は現在のところあまりない。 若年への対策も急務である。乳癌検診は30代40代では費用対効果が悪く、国際的にも積極的に検診が勧められているわけではない。 マンモグラフィと乳房超音波の併用を40歳代の女性に対して、日本で大規模試験が行われ、 がん発見率1.5倍、早期がん発見率もマンモグラフィ単独より20%上昇した。 今後、これらの結果を考慮し、より質の高い受診率の高い検診をすすめていき、よりよい社会を形成することが重要であると考えられる。 (2017-08-05)

※採用年度より前の教育・社会貢献業績データは登録されていません。
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