ようこそ、産学連携知的財産管理室(産知室)へ

2016年度より川崎医科大学内に、産学連携知的財産管理室(産知室)が開設されました。産知室が所掌する課題は、本学の産学連携活動の活性化、知的財産管理のノウハウの蓄積と、教職員への支援です。
 現在、室長の大槻他教員2名、コーディネーター1名、事務3名で担当しております。
 また外部よりさらに、産学連携知的財産アドバイザーとして1名に指導していただいております。

 本学において、教育・診療はもとより、研究活動についても鋭意努力し、その成果を高めていくことが求められておりますが、ここ10〜15年くらいは、論文発表による研究業績に加えて、特許の取得、産学(官)連携によるイノベーションの創生と大学発ベンチャーなどの起業も、研究活動として重要視されるようになってきました。
 すべての科学学術領域において、研究の成果は広く国民社会に還元され、その生活や人生を豊かにしていくこと、人びとのWell-beingに貢献していかなければならないこと(医科学の領域であれば健康の不都合に対して予防・診断・治療などの向上による貢献となります)が求められております。それらは、学術研究の多くが国税で賄われており、その成果は資本を注入された国民すべての手に渡らなければならないという考え方が、浸透してきたことにもよります。
 例といたしましては、open access journal による研究成果の開示などもその一環かも知れません。
 このような中で、研究開発よって成果果実が産まれ、それが人びとのWell-being に多くの貢献をもたらす時に、当然、社会の中での経済という側面も疎かにはできないことは理解できるところであります。
 また、研究開発された成果を、特許をはじめとする知的財産として管理する上で、開発した研究者の権利を守ることも非常に重要になってきます。

学問は世俗の波とは無縁のところで、清貧のままに学術研究にのみ没頭するのではなく、社会科学研究による成果として健康の不都合に苦しむ人たちに還元することで、経費財政的にも新たな余裕と研究への資源を創出し、更なる高みへと望むことが現在の社会において必須の考え方になるのではないかと思われます。臨床面でも、免疫チェックポイントの抗体治療に代表される分子標的療法の発展は、種々の疾病で苦しまれている方々への大きな希望となっており、これらも多くの基礎研究や臨床研究の賜物であり、医科学が社会に貢献する最もわかりやすい表現形の一つだと思います。
 そのような中で、本学では教員も、事務方も、産学連携や知的財産管理に対して十分な対応ができていなかったこと、他の大学・研究機関と比べて、相当に遅い足取りでしか対峙出来ていなかったことも否めないところです。
 2014年から研究担当副学長の取り組みによって、 アドバイザー派遣事業として2年間、広域大学知的財産アドバイザーを招聘することが可能となり、学校法人川崎学園の3大学(川崎医科大学、川崎医療福祉大学、川崎医療短期大学)と、岡山県立大学、福山大学の5大学でネットワーク(NW)を形成した、西日本医系大学知的財産管理NW事業が展開されました。
 幹事校主催の川崎医科大学学術集会においては、岡山県立大学と、福山大学からもポスター発表や口演発表もいただきました。
 また、川崎医療福祉大学、川崎医療短期大学、本学はもとより、岡山県立大学や、福山大学にも本学と同様に産学連携知的財産管理体制及び推進の礎を形成し、十分な実績が残された2年間でした。

 本NW事業については、事業終了時の会議において、今後の連携と相互の交流から生まれる成果に向けて各大学が努力していくことを確認しました。当日の記念写真も紹介しておきます。
 学内では、特許申請(発明届提出)の件数が増加傾向となり、着実に出願に至った案件もあります。
 また、その一部はPCT(特許協力条約:Patent Cooperation Treaty、PCT)に基づいた国際出願に至りました。
 これまでの潮流を2年間のNW活動で途絶えさせないためにも、継続的な産学官連携と知的財産管理への支援活動が望まれている中、新規のアドバイザー派遣事業への申請を行いました。この事業には、「プロジェクト支援型」と「プロジェクト形成支援型」の2種類があり、本学が申請した「吉備地域産学官連携知的財産活用NW(幹事大学:川崎医科大学、参画大学:川崎医療福祉大学、岡山県立大学、福山大学)」は「プロジェクト形成支援型」として採択され、新たに産知室が組織されました。

 当該事業は西日本医系大学知的財産NW事業を継承しつつ、事業化を目指す体制を構築するものとなっており、地域という側面を前面に押し出したものになっております。
 国自体が地域創生を現在の日本の課題解決の一つの柱として掲げていることもあり、大学はより深い地域連携が求められております。
 本事業は、特に産学官連携と知的財産管理を目的とし、さらに地域に根差したものとなっておりますが、大学のシーズから知的財産管理を行いながら製品開発まで進めるためには、企業の地域を限定してしまうと、十分な成就に至らない可能性もあります。この事から、掲げる言葉は「吉備地域」であっても、吉備地域の大学シーズ発であれば、連携企業の地域にはこだわらないことになっております。
 食品や栄養関係の連携組織としては、「おかやまバイオアクティブ研究会」があります。「岡山県医用工学研究会」、「おかやま生体信号研究会」、「メディカルテクノおかやま」の3つの組織では、2009年度より大学窓口として、大槻が副会長も務めております。
 中国地方を中心に医系のみならず産学官連携のマッチングを推進している「中国地域産官学連携コンソーシアム(さんさんコンソ)」には、本学も今年度から参画しました。
 また、橋渡し研究加速ネットワークプログラム事業の実施機関である岡山大学や、九州大学とも連携が可能となり、周辺環境との連携も、積極的に行っていきたいと考えています。
 その他、産知室で所掌する関連事業としては、東京医科歯科大学が中心となっている医療系産学連携ネットワーク協議会(medU-net)への参画と情報共有があります。
 本学では、medU-netの趣旨に賛同し、会員登録をして積極的にmedU-netとの協調を進めております。産学連携イノベーション創生の展示会であるBioJapan においては、medU-netのブース枠内で、出展も継続して行っており、今後も積極的に行っていきたいと考えております。
 知財保護の観点からは、本学では従来特許申請を目標とするシーズがある場合に、学会発表の抄録集や論文などで開示し、その後の申請ができなくなるといったことが発生する等、ノウハウ面で知識と手法の蓄積が希少でした。先進から知識や手法を教授していただくことにより、急ぎ足で教職員のコンセンサスを形成する中で、medU-netの持つ有形無形の情報を本学にも可能な限り還元していく橋渡し役を産知室で務めようとするものです。
 また、川崎医科大学の研究シーズ集も発刊し、かつ刷新を継続していきます。今後は産知室発足を機として、それらの充実に努力していきたいと思っております。
 また、JST(科学技術振興機構)の展開する産学連携イベント等も活用し、シーズと企業とのマッチングの機会を全教職員に伝達共有し、積極的な参加を促していくことを目指しています。こういった種々のシーズのプレゼンテーションを介することで、製品化の課題なども具体的に見えてくるなど、イノベーション創生に向けた機運が醸成されていくことも確実です。
 川崎医科大学発の医療系事業の創生を目指し、産学連携知的財産管理室が中心となって大学全職員で、努力していきたいと思っております。
 〜ようこそ、産学連携知的財産管理室(産知室)へ〜
 そして、メディカルイノベーションへの最初の一歩を踏み出します!