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生化学教室




教授栗林 太
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教授山内 明
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講師岡本 秀一郎
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講師矢田 豊隆
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 生化学教室は1学年生命科学と2学年代謝学と医化学実習を主に担当している。平成28年3月に当教室の刀称が退職となったため、担当教員が変更となった。
 地上には虫や動物や花々が満ち溢れ、生命は様々な形で我々の前に姿を現す。生命とは何だろうか?大脳の機能が失われると人格は喪失するが、細胞・組織・臓器は生命を維持している。精神活動を含め、あらゆる生命現象を分子のレベルで明らかにするのが生物化学(生化学)である。生命を維持する機構、すなわち遺伝子の構造とその情報、タンパク質の構造と機能、そしてこれらを維持し機能させるためのエネルギー供給系、これらは基本的には全生物に共通のものである。生化学は医学に於いては人体を構成する個々の細胞や組織、あるいは体液内で行われている生命維持のための機構を分子のレベルで解明し、理解することにある。生化学によってあらゆる疾患の分子レベルでの病因解明が行われ、最も有効で適切な治療を行うための知識と手段が与えられる。
 平成27年度の学生講義は、1年生の1学期に生命科学として、2年生の1学期に代謝として講義を行った。両科目とも当教室の栗林と山内先生が主要な内容の講義を行った。生命科学では、自然科学教室の泰山先生にもご専門の内容の基本的な重要事項を分り易く学生に講義をして頂いた。生化学教室では上記の他、リベラルアーツとして、1、2年生に講義を行っている。昔の教養教育に相当する部分も多く、学生の教養の幅を広げるように努めたい。また、平成28年度から4年生への補講、平成24年度から6年生4月の必修問題事項演習にも積極的に参加している。
 前教授の湊川先生は、「最終的には学生の頭の中に代謝の大きな流れ図が描かれれば我々の役目は果たせたと思っている。」と話されておりましたが、同感です。解糖系やTCAサイクルを例に挙げても、下記の経路とつながってほしい。
  • 1)グリコーゲンやグルコース以外の糖との関係、
  • 2)各種アミノ酸との関わり、特にグルタミン酸(αKG)の意義、
  • 3)核酸へのPRPPの供給、
  • 4)中性脂肪やβ酸化等とのつながり、
  • 5)ケトン体やコレステロールへの合成、
  • 6)ヘムへの合成経路、
 臨床の検査最多項目の1つにALTとASTがある。1、2年では、これらの酵素がアミノ酸代謝に必須であること、即ちALがアラニンをASがアスパラギン酸を意味することを学び、アミノ基を転移する反応(T)により、糖代謝やアミノ酸合成につながることを学ぶ。また、ビタミンB6を補酵素として必要とすることも学ぶ。3、4年生になると、肝疾患、ついで筋疾患でこれらの細胞内酵素が血中に逸脱すること、即ち、細胞障害の程度を演繹する手段であることを学ぶ。5、6年になるとASTとALTの上昇の程度差から、筋疾患やアルコール性の肝障害まで思索することが求められる。例えば、筋疾患ではALTに比べASTの上昇が顕著になる。なぜだろうか。‐鐚嬰に考えて、筋細胞がグルコースからエネルギーを得るときに、解糖系、TCAサイクル、電子伝達系を必要とする。TCAサイクルの土台となるオキサロ酢酸はASTにより合成できるから、筋細胞は比較的AST>ALTと想像できるかもしれない。⊆尊櫃砲蓮解糖系で生成されるNADHは(嫌気的な条件では乳酸合成に消費されるが)ASTの作用により消費され、間接的にミトコンドリア内に取り込まれ、電子伝達系に続くことになる。そのため有酸素時にグルコースを完全燃焼する筋細胞ではASTをより必要とするため、筋壊死では血中のASTが顕著に上昇する。学生には「心筋梗塞=AST(>ALT)上昇」と反射的な記憶を求めるのではなく、理屈に根ざした思考力の育成に努めたい。
 平成27年度は医化学実習として、糖質代謝と乳酸脱水素酵素(LDH)についての理解、臨床への応用を目指した。LDHの実習では筋細胞型と心筋型のアイソザイムの組成を実習にて確認することも行った。糖代謝ではケトン体の生成過程や糖尿病の病態生理の理解を深めることに努めた。平成28年度も引き続き、第2学年の1学期に実習を行う。
○昨年度の自己評価と反省
 昨年度は6年生保留生に対して2月末の2週間に第110回医師国家試験問題の解説と内科系の講義を行った。最終学年の講義を通して低学年の講義を考え、組み立てる良い機会となった。その1、2年の講義では、コアカリキュラム項目に漏れがない講義が最低項目になるが、生命維持の現場は代謝であることを認識させようと考えている。講義では、スライド映像にのみ依存せず、板書、教科書の利用、配布物等を利用し、理解しやすいように一層の工夫が重要になる。平成25年度から、代謝講義用の資料の多くを学年当初に配布し、学生の積極的予習を促している。
  • 1.アポトーシスがおこるメカニズムと、それが引きおこす生理的機能の解明
  • 2.細胞動態の解析を通した生体防御機構の解明
  • 3.トリプトファンによる免疫抑制機構の解明
  • 4.ペルオキシゾーム病の研究
  • 5.活性酸素の生成機構の研究と慢性肉芽腫症の診断

○昨年度の評価と反省
 研究活動として、十分な成果をあげたとは言いづらい。生命維持機構の解明を目指し、蛋白質発現の調節、及び機能と細胞内局在性の機構を明らかにしたい。各教室員が互いに技術や知識の共有化、各得意分野からの考察など、独立性を維持しながら協力し、多くの知見が蓄積しつつある。成果の1例として、プログラム細胞死(アポトーシス)の核凝縮の過程が3段階に分かれていることを明らかにできた。その各段階の凝縮因子の単離・同定を行っている。また、必須アミノ酸のトリプトファンに新規な生理機能があることを見いだした。
  • 教育:学生の教育が最重要であることと認識し、講義や実習を改善し、少しでも良いものを学生に提供していく。平成28年度は、1年生の生命科学の教科書が変更になるが、新教科書に対応した講義を行う。学生の予習を促すために、年度始めに代謝全体の講義資料を配布する。来年度以降はe-learningに対応するテキストを作成する。その配布テキストを通して、代謝の全体像、遺伝情報の全体像、細胞の全体像、ヒトの全体像を把握するように促していく。
  • 研究:生化学教室教員の名前にてPUBMEDの検索した時に、2015年度の論文は5報掲載された。今年度や来年度以降も、3本以上の掲載を達成させる。細胞の生命維持機構及びそれに必要な蛋白質の同定と機能解析へと収束することが見えてきた。教室員が互いに技術的、知的に協力し、補完しあえる基盤を一層発展させていきたい。
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