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病態代謝学教室




教授松田 純子
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特任准教授大友 孝信
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講師郷 慎司
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助教日野 知子
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 病態代謝学教室は、2016年6月に新設されたばかりの基礎医学系教室です。医科大学での6年間の学生生活では、第1学年と第2学年での解剖学、生理学、生化学、分子生物学、微生物学、薬理学、免疫学をはじめとした基礎医学、衛生学などの社会医学、第3学年以降からの臨床医学と膨大な量の講義と実習が待っています。これらの医学教育の中において、病態代謝学教室は、基礎医学と臨床医学の間をつなぐ医学教育を担当します。具体的には、第2学年を対象とした医化学実習や研究室配属型実習「医学研究への扉」、第4学年を対象に行われる症例ベースの講義「臨床病態論」を担当します。加えて、Physician Scientistsの育成を目的とした大学院教育にも力を注ぎます。
 近年、医学・生命科学は、有効な治療薬がなかった希少難病に対する治療薬の開発、iPS細胞を用いた再生医療など、爆発的な勢いで進歩しています。これは多くの基礎医学研究者が病気の病態を遺伝子から分子のレベルまで何十年もかけて解明した成果の結晶です。基礎医学研究の成果が、実際の医療の現場で治療法の開発に結びつく、それが医学という学問の醍醐味です。医師を目指す皆さんには、病態代謝学教室が行う講義や実習を通じて、生命現象や病気のメカニズムに対して疑問を持ち、それらの疑問に対処していく力をつけてほしいと思います。

 病態代謝学教室では、「疾患を通じて正常を知る」の精神に基づき、遺伝子改変マウスを用いた病態解析を通して、生命現象の謎に迫り、最終的には将来の医療を変える研究を目指しています。具体的には、スフィンゴ糖脂質を含む膜脂質の生物機能を解明すること、次いで様々な疾患や病態への関わりを明らかにすることを目指しており、現在の主な研究内容は、下記の4つです。

  • 1) スフィンゴ糖脂質の構造多様性が担う生物機能の解明
     スフィンゴ糖脂質は生体膜のouter leafletに存在する膜脂質で、親水性の糖鎖部分と疎水性のセラミド骨格からなり、臓器別、組織別、発生・発達段階別に特徴的な構造多様性が存在します。セラミド骨格はスフィンゴシン塩基と脂肪酸から構成され、それぞれに構造多様性があることが知られていますが、その生物機能はほとんど解明されていません。ヒト、マウスをはじめとする多くの哺乳動物では、小腸、腎臓及び皮膚において、他の組織にはほとんど存在しないスフィンゴシン塩基のC4位に水酸基が1つ付加した「フィトセラミド」と呼ばれる構造を持ったスフィンゴ糖脂質が豊富に存在することが知られています。本研究では、スフィンゴ糖脂質の疎水性部分であるフィトセラミドの合成にかかわる酵素であるDihydroceramide:sphinganine C4-hydroxylase(DES2)のノックアウトマウスを作製し、セラミドの構造多様性、中でもフィトセラミド構造が担う生物機能の解明を目指しています。
  • 2) 神経型ライソゾーム病及び神経変性疾患の病態解明
     スフィンゴ糖脂質のライソゾームにおける分解異常症は主として小児期に重篤な神経症状を呈する稀少難病であるスフィンゴリピドーシスを引き起こします。近年、スフィンゴリピドーシスの一つであるグルコシルセラミド(GlcCer)の分解異常症であるゴーシェ病の責任遺伝子GlcCer-β-glucosidase(GBA)のヘテロ接合性変異がパーキンソン病の危険因子であることが明らかになり、スフィンゴリピドーシスと様々な神経変性疾患との関係に注目が集まっています。我々は、これまでの研究において、スフィンゴ糖脂質のライソゾームにおける分解に必須の糖タンパク質であるスフィンゴ脂質活性化タンパク質─サポシン(SAPs)A、B、C、D─及びその前駆体タンパク質であるプロサポシン(PSAP)に関わる遺伝子改変マウスを、世界に先駆けて独自に作製し、その病態解析を行ってきました。ヒトではSAP-A、SAP-B、SAP-Cの欠損症が知られており、中でも、SAP-Cの欠損症は神経型ゴーシェ病様の臨床症状を呈します。本研究では、我々が作製した神経型スフィンゴリピドーシスモデルマウス:SAP-C欠損マウス及びSAP-D欠損マウス用いて、パーキンソン病を含む神経変性疾患発症におけるSAPs、PSAPの機能の解明を目指しています。
  • 3) 網膜色素変性症におけるプロサポシンの機能の解明
     PSAPはSAPsの前駆体タンパク質でライソゾームに運ばれて、4つのSAPsを生成すると同時に、細胞外に分泌され、栄養因子などとして機能しているとされています。2012年にセマフォリン4A(Sema4A)がPSAPの網膜色素上皮細胞(RPE)からの分泌に関わり、その遺伝的欠損はヒトの網膜色素変性症を引き起こすことが報告されました。我々は、PSAP欠損マウス(PSAP-KO)及びPSAP過剰発現マウス(PSAP-Tg)の網膜の表現型解析を行い、PSAP-KO網膜には視細胞の変性脱落を認めないのに対し、PSAP-Tg網膜では、出生時には正常であった視細胞が3週齢頃から脱落し始め、5週齢までには完全に脱落することを明らかにしました。本研究では、PSAP-Tgを用いて、網膜におけるプロサポシンの機能と視細胞変性の分子メカニズムの解明を目指しています。
  • 4) 遺伝性脱髄疾患─クラッベ病に対する新規治療法開発
     クラッベ病は、ライソゾームに存在する酵素、ガラクトシルセラミド(GalCer)-β-ガラクトシダーゼ(GALC)の欠損を病因とする難治性の遺伝性脱髄疾患です。GALCの基質であるGalCerはミエリン鞘の主要な構成脂質であり、同じくGALCの基質であるガラクトシルスフィンゴシン(サイコシン)は強い細胞毒性を有し、そのミエリン形成細胞への蓄積が細胞死を引き起こすために、中枢及び末梢神経線維のミエリン鞘が破壊され、乳幼児期から重篤な神経症状を呈すると考えられています。これまで、ゴーシェ病をはじめとするいくつかのリピドーシスに対して、低分子化合物を用いて蓄積物質の合成を抑える「基質抑制療法」が成果を上げており、中でも、酵素補充療法の効果が乏しい、神経型リピドーシスに対する治療効果が期待されています。本研究では、クラッベ病モデルマウス由来の培養オリゴデンドロサイト前駆細胞を用いてクラッベ病に有効な新たな基質抑制療法薬の探索を行います。
  • 1) 学生教育について
     医学部教育では、LENONシステムを利用した小テストや学生への直接質問を行うことにより、学生の理解度の確認をしながら授業を進める「双方向性教育」を積極的に取り入れます。また、LENONシステムや記名式のレスポンスカードを利用した授業アンケートの実施により、学生の個々の意見や客観的評価を把握し、その結果をタイムリーに次の授業改善に役立てていきます。主な担当科目である第4学年を対象とした、症例ベースの講義「臨床病態論」では、臨床医学系及び基礎医学系教室と連携し、CBTや医師国家試験で要求されているレベルとのバランスを念頭に置きながら、実地臨床に則した学生が興味を持ちやすい症例を選定します。基礎医学の知識が臨床現場でどのように活かされているかを実感できるように講義内容には毎年改定を加えていきます。
     大学院教育では、新設教室であり、まずは学会発表やセミナー、論文発表、輪読会、基礎医学系の講義や実習などを通じて、病態代謝学教室の研究内容を学内外に積極的に発信し、大学院生の入学を促したいと思います。指導においては、幅広い知識と研究技術の習得、論文執筆力の養成に力を注ぎ、誠実で責任ある研究成果が発信できるPhysician Scientistsを育成したいと考えています。
  • 2)研究について
     新設の教室であり、上述の研究を遂行するためには、生化学、分子生物学、糖鎖科学、神経科学、病理組織学など、さまざまな分野の実験手法を駆使することができる優秀な若手研究者を教室スタッフとして獲得すること、学内外の研究者との共同研究ネットワークをさらに広げていくことが最優先課題です。
 〒701-0192 岡山県倉敷市松島577 川崎医科大学 TEL086-462-1111

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