診療実績:平成29年度(平成29年4月~平成30年3月)

平成29年度に診療した患者数:2,411名
(平成23年度1,594名、平成24年度1,768名、平成25年度1,965名、平成26年度2,090名、平成27年度2,205名、平成28年度2,332名)

   関節リウマチ 1,015名
   SLE 204名
   強皮症・MCTD 144名
   皮膚筋炎・多発性筋炎 74名
   血管炎症候群 122名
   シェーグレン症候群 81名
   ベーチェット病 44名
   成人スチル病 28名
   リウマチ性多発筋痛症 100名
   脊椎関節炎 87名
   (オーバーラップ症候群は、主に治療されている病名で集計)


患者さんへの想い

 平成22年4月、「リウマチ・膠原病科」は独立した診療科として新設されました。院内における診療の基盤も「皮膚・運動器センター」に移っています。開設以来、内外から新たな診療スタッフが加わり、また診療患者数も増え続けています。
 患者さんやご家族は、何らかの苦痛や不安を胸に抱え、当科を受診されると思います。私たちは高い専門力とバランスのとれた人間性で、「みなさまから選び続けられる診療科」を目指します。大学病院の特徴を利用して、一人の患者さんの診断や治療方針の決定に多くの医師やメディカルスタッフが関わり、患者さんとの信頼関係のもと、安全で安心な医療の提供を心がけています。

診療体制

 当科の診療の場は「外来」が中心となります。診療患者数の増加に伴い、少なくとも毎日2名の外来診療医を配置し、充実した診察が行えるよう心がけています。さらに、患者さんの利便性確保のため、土曜日の外来診療において当番制ではなく、医師を固定しています。
 さらに、若手医師(臨床助教や大学院生)の診療記録(電子カルテ)を診療部長が定期的にチェックし、血液・画像検査の評価、治療方針の確認を行っています。「カルテをチェック」することで、医療判断に複数の医師が関与することになり、医療の質の向上に繋がるものと考えています。
 病態が複雑あるいは病気が比較的重い患者さんの診療は、一定期間「入院」にて行うこともあります。入院診療は、主治医とともに、経験が豊富な病棟チーフ(日本リウマチ学会指導医)が一緒に治療にあたります。毎日、全入院患者の診断・治療方針について相談するミーティングも行い、質の高い医療を提供できるように努めています。

診療概要

関節リウマチ

 関節の腫れが全く認められない時期でも、関節内では既に強い炎症をおこしていることがあります。
そのためリウマチの早期診断には「関節超音波検査」が有用となります。ただし、他の膠原病や、悪性腫瘍・感染症に関連して関節炎が発症することもありますので、鑑別には注意が必要です。
 リウマチの発症早期は特に薬の有効性が高く、この時期の治療法選択が将来の関節予後を決定します。発症早期から、合併症が多く治療の難しいケースなど様々な病態の患者さんに対し、抗リウマチ薬、バイオ製剤(生物学的製剤)、JAK阻害薬を適切に組み合わせて治療を行っています。関節リウマチの治療法選択は、薬の効能のみならず、治療のリスクやコストも勘案する必要があります。当院にはリウマチ治療に精通する専任看護師(登録リウマチケア看護師)がおり、個別相談が可能です。患者さんの状況やニーズに応じた治療選択ができるように心がけています。

   関節リウマチの呼吸器合併症
 関節リウマチの呼吸器合併症を併発することは少なくありません。特有の肺病変として「間質性肺炎」「気管支拡張症」があります。また、リウマチ患者さんは一般人と比べて呼吸器感染症に罹患しやすいことが知られています。リウマチの治療を安全に遂行するためには、呼吸器合併症を適切に評価し、必要に応じて治療介入を行うことが大切です。当院ではリウマチの呼吸器合併症の把握に努めており、放射線科(画像診断)、呼吸器内科とも連携して診療にあたります。

全身性エリテマトーデス(SLE)

 膠原病の中でも特に多臓器におよぶ病態評価と治療が必要な疾患です。初期症状が見逃されやすい心血管・肺・神経・腎臓などにも病気が及んでいることもあり、疾患評価をきちんと行った上で、治療を開始することが大切です。当院ではSLEの診療に特に力を入れており、患者さんの生活や人生をしっかりと考えた医療判断を心がけています。 妊娠を希望される場合には、計画的な妊娠をサポートします。当院産婦人科は合併症妊娠に対する専門性が高く、協力して妊娠から出産までの病状管理を行っています。初めてSLEの診療を希望される方は月曜日あるいは火曜日午後の「初診外来」を受診して下さい。火曜日午前には「SLE専門外来」(再診)も行っています。患者さんの症状によっては、皮膚科医師と一緒に診察にあたることも可能です。

強皮症、混合性結合組織病(MCTD)

  これらの疾患は心臓や肺疾患を併発する頻度が高く、その評価を定期的に行うことが大切です。最近の医学の進歩によって、早期から心・肺の合併症を把握し、必用な時期に治療介入を行えば、その後の経過がとても異なることが分かってきました。当院では、見逃されやすい心臓や肺の臓器障害の把握に特に注意しています。当院循環器内科の心臓超音波検査(エコー検査)の技術は国内外で高く評価されており、連携して診療にあたります。