川崎医科大学 情報科学教室 辻 修平
(平成16年度 受賞者)

イタリア・グランサッソ

 平成16年に国際教育・研究交流助成(派遣)をいただきましたことに深く感謝いたします。
 その折に私が訪れましたイタリアのグランサッソ研究所はイタリアの中央に位置しております。ローマからは車で約2時間弱の距離にあります。日本の地形と対比して説明すると、ちょうど長野県ぐらいの山岳地帯です。グランサッソ研究所は主に2つで構成されており、地上の研究所と地下の研究所があります。地上の研究所には、一般の研究所と同じく、事務所、食堂、各個人の部屋、グループの部屋、コンピュータルームがあります。面白いのは、3階にノーベル賞受賞者のカルロ・ルビア氏の部屋があります。しかしながら、彼は忙しい人なのでいつもその部屋は空き部屋になっており、全く人の気配がありません。ここは、国立の研究所なので、いつも不在ですが、イタリア人のノーベル賞学者のための部屋を確保しているのです。
 地下の研究所は、グランサッソの山の横面に巨大な3つのトンネルを掘っており、そこで実験グループごとに巨大な実験装置が運転されています。
 私の所属している実験グループはLVD(Large Volume Detector)です。縦、横、高さが 13m×23m×10mあります。これは、大きく分けると3つのタワーで構成されており、さらに個々のタワーは、液体シンチレータで満たされたタンクで構成されています。
 観測対象は、ミューオンとニュートリノです。ミューオン自体、または、ニュートリノが反応した荷電粒子が液体シンチレータの中に入ると発光します。その光を捉えます。日本ではスーパーカミオカンデが有名ですが、観測方法は異なり、また、カミオカンデよりもエネルギーの低いニュートリノまで観測可能です。実験の目的は、超新星爆発に由来したニュートリノを捉えることです。地球で観測できうる超新星爆発というのは今日起こるか、数百年後に起こるか、いつ起こるかわかりません。そういう理由でこの観測には継続運転が必要ということになります。
 LVD実験にはイタリアを中心として、世界中の国々が参加しています。日本も私を含め、現在4名が参加しています。継続運転のため、シフター業務というものが実験参加者に割り当てられます。これは約1週間、継続して検出器を監視する業務です。これは、コンピュータのモニターで検出器が動いているのを適宜監視します。もしトラブルがありますと、ウィークデイだとラン・コーディネーターに連絡をしなければなりませんし、土曜、日曜ですとラン・コーディネーターが休みなので自分で検出器を復旧する必要があります。たとえ夜中でも、トンネルを巡回しているガードマンからホテルに電話があったときは、車を飛ばして研究所に行かねばなりません。ガードマンは単にモニターを見るだけで、異常があったときはその時の担当のシフターに連絡するだけです。
 現在でも、この監視業務のためイタリアへ行っています。
 超新星爆発以外にも、現在、ボローニャグループを中心的に、「ニュートリノ・オシレーションの検証」が行われています。これは、スイスのセルンという研究所からニュートリノ・ビームを人工的に発射し、LVDで観測するというものです。


検出器 LVD

[平成19年12月25日掲載]