岡山大学大学院  寳迫睦美
(平成17年度 受賞者)
RBタンパク質の酸化修飾型抗体の開発
 この度は平成17年度教育研究助成を賜りまして誠に有り難うございました。また、このような研究助成をしていただけることは研究を進めて行く上でとても励みになります。
 私は大学院を卒業後、助手となり二年が経ちました。現在は本研究助成金を活用させていただき、研究に励む毎日です。私の研究テーマは「活性酸素による細胞周期の制御機構を解明する」というもので、大学院生時から現在に至るまで、引き続いて研究を進めております。
 急性炎症で多数出現する好中球は、生体内で強力な活性酸素の産生源として知られています。今までの研究で、炎症の際に活性化好中球が産生する生理的なオキシダントであるモノクロラミン(NH2Cl)が、ヒト急性T細胞性白血病株Jurkat 細胞の細胞周期をG1期で停止させることを見出しました。この機構解析を行うと、G1期で抑制的に制御している癌抑制遺伝子産物の一つであるRBタンパク質(Retinoblastoma protein;pRb)の脱リン酸化が部位特異的にみられており、さらにpRbのメチオニン残基が酸化していることが確認されたため、pRbの直接的な酸化がNH2ClによるpRbの脱リン酸化と細胞周期停止の主要な原因であることがわかりました。このpRbを中心とする経路は、チェックポイントコントロール、アポトーシスや細胞癌化に深く関連していることが報告されています。今後はこのpRbに注目して、活性酸素によるpRbへの酸化特異的な現象を検証し、活性酸素がいかに細胞周期の制御に関わっているのか、その作用機序の解明に努めたいです。
 また、私は大学院をまだ卒業したばかりで、研究者としてはまだスタートラインに立っている状態ですが、これまでに大学院で得た知見及び取得した技術をもって、頑張っていきたいです。研究は実際に実験を行っている現場にこそ、新たな発見があります。長時間にわたる実験、試行錯誤など、研究には忍耐力が必要とされますが、一つでも多くの新しい発見が出来るように、また一つでも多くの病気の原因を解明することが出来るように、基礎医学的な研究の観点から貢献していきたいです。

[平成18年5月24日掲載]