岡山大学大学院  美藤純弘
(平成17年度 受賞者)

唾液分泌のしくみを解き明かす

 最近の不景気なご時世にもかかわらず、栄えある助成金を賜りましたことをとても嬉しく光栄に思っている次第です。この受賞を励みに更に研究に邁進し、社会に貢献できるようがんばっているところです。その研究等を紹介させていただきます。
現在の研究
 唾液は食物の咀嚼や嚥下ばかりでなく味覚、発声や感染からの防御など種々の口腔機能発現に重要な役割を果たしています。私の主な研究はこの唾液の分泌を制御している中枢神経機構を明らかにすることです。  唾液分泌中枢は脳幹網様体の上唾液核(副交感神経の一次中枢)と呼ばれるところにあります。ここには唾液腺以外に舌の血管や涙腺など複数の組織を支配している細胞が混在しており、また比較的その大きさが小さいことから電気生理学的に記録することが困難でした。最近、私たちは唾液腺支配細胞を特異的に蛍光色素で標識し、新鮮脳スライス標本を作製し、パッチクランプ法により標識細胞から特異的に記録することに成功しました。これにより、唾液核細胞の神経活動を調節している興奮性と抑制性シナプス入力を明らかにしました。現在、助成をして頂いた研究の唾液核細胞の発火パターン解析、つまり唾液腺に唾液核細胞が伝えているシグナル(活動電位)のパターン解析を行っているところです。また、生後発達に伴った上唾液核細胞に対するシナプス伝達の発達を調べています。生後、お乳を吸う行動から食べるという行動に変化する様に、口腔機能は劇的に変化するので、そのシナプス伝達は変化することが考えられます。
将来構想
 (1)発火パターン解析の研究を応用して、埋め込み型の電気刺激装置、つまり「心臓ペースメーカー」同様の「唾液腺ペースメーカー」を作ることが出来たらという夢を抱いています。(2)唾液分泌といえば、通常、酸っぱいものを見たら唾液がでる様に、興奮性の入力に関心がいきがちですが、前述のように上唾液核細胞にも抑制性入力が存在することが明らかになりました。そこで「唾液分泌の抑制」という機能は私たちが生活をしている中でどの様な意義があるのか明らかにしていきたいと考えています。
Profile
血液型:A型。趣味:スポーツをすること、またスポーツ観戦。好きな言葉:人事を尽くして天命を待つ。慈眼視衆生。

[平成18年1月16日掲載]