川崎医科大学 眞部紀明
(平成18年度 受賞者)

「平成18年度川崎医学・医療福祉学振興会教育研究助成」を受賞して

 この度は「平成18年度川崎医学・医療福祉学振興会教育研究助成」の受賞者に選んで頂きましてありがとうございます。私は,愛媛県松山市の出身で,大学から瀬戸内海を渡って広島の方へ出てきました。平成5年に広島大学を卒業してからは,広島赤十字原爆病院,広島市立安佐市民病院に勤務させて頂き,平成10年から今年の3月まで広島大学に勤めておりました。この4月に川崎医科大学の方へ赴任して来たばかりですが,この様な賞を早速頂き光栄に存じます。今後の研究ばかりでなく診療の励みにもなります。
 私が申請させて頂きました研究テーマは「Barrett腺癌の早期診断に関する研究」ですが,このBarrett腺癌は現在,欧米では急増し食道癌の半数を占める疾患となっており非常に注目されています。この食道腺癌の発生母地としては食道の円柱上皮/腸上皮化生粘膜すなわちBarrett食道が重要であり,その発生と進展には,胃食道逆流症と逆流性食道炎が重要な役割を担っていることが今日明らかにされています。典型的なBarrett食道に遭遇する機会はわが国においてまだ多くはないものの,逆流性食道炎の増加は指摘されており,また表在性のBarrett腺癌も報告される様になってきており,将来的には欧米と同様にBarrett食道およびBarrett腺癌が増加してくることが予想されています。そのため,今後は臨床的にもBarrett食道やBarrett腺癌の発生を念頭においた食道の観察が必要になっています。今日,これらの患者に対しては定期的な内視鏡検査下の生検により組織を得ることで経過観察しておりますが,本疾患患者は高齢者に多く,各種循環器疾患,脳血管疾患のため抗凝固療法施行中の場合が少なくありません。そうした場合,通常の生検診断は出血のため困難であり,本研究が本邦における今後のBarrett食道患者の経過観察に役立てる様になればと考えています。
 最後になりましたが,私のこの研究課題を栄えある「平成18年度川崎医学・医療福祉学振興会教育研究助成」に選んでくださいました関係各位に心から厚くお礼申し上げ,ご挨拶の言葉に代えさせて頂きます。

[平成18年11月28日掲載]