川崎医療福祉大学 片岡 則之
(平成19年度 受賞者)

医工連携最前線

 わたくしが共同研究をしているLarry McIntire教授は医用生体工学(BME)研究の第一人者で、米国ジョージア州アトランタにある、ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology: Georgia Tech)とエモリー大学医学部(Emory University, School of Medicine)にラボを構え、両大学が共同運営しているDepartment of Biomedical Engineering のDepartment Chairとして多忙な日々を送っています。アトランタは1996年にオリンピックが開催されたことからご存知の方も多いと思いますが、アメリカ南東部最大の都市で、周辺地域まで含めたアトランタ都市圏には500万人ほどの人が生活しているそうです。
 アメリカではほとんどの大学にBMEプログラムがあり、とくにトップランキングのプログラムの多くは、同じ大学内の工学部と医学部が連携して運営していますが、Georgia TechとEmory Universityの場合、片や州立大学(Georgia Tech)、片や私立大学(Emory University)という、設置形態の枠組みを超えた非常にユニークな共同運営体制をとっています。日本ではまず考えられない連携でしょう。実際に、Emory Universityに工学、理学系でPhDを取得したスタッフが研究室を構えていたり、Georgia TechにMDを取得したスタッフがラボを構えていることもあります。ここにはDepartment専任のスタッフとともに、Mechanical Engineering、Chemical & Biomolecular Engineering、Electrical Engineering、Computer、Biology、それからEmory University, School of Medicineの基礎系、臨床系の多くのスタッフが兼任として名を連ね、総勢で60名以上が研究と教育に携わっています。Georgia TechでのBME研究は、伝統的にCardiovascular Mechanicsがメインテーマの1つでしたが、最近はTissue Engineering、 Bioinfomatics、 Biomolecular Engineering、Neuro-engineering、 Biomedical Imagingにも力をいれており、BME領域全てを網羅していると言っても過言ではありません。Georgia TechのBMEプログラムには非常に多くの大学院生も所属しており、現在、最大級のDepartmentです。大学院生向けの授業も両大学で行われているので、1、2年目の大学院生はかなり頻繁に両大学間を行き来しています。また、Emory UniversityのMD, PhDプログラムの学生が、Georgia TechでPhDトレーニングを受けるということもあります。
 現在のアメリカではBME研究に非常に勢いが感じられます。日本でも、海外の研究者と連携しつつ、ぜひともこの様な勢いを実現したいものです。

[平成21年7月21日掲載]