川崎医療福祉大学 三上史哲
(平成21年度 受賞者)

肢体不自由児施設入所児の実態

 この度は,「肢体不自由児施設入所児の生活機能と支援ニーズ」研究に対する助成を賜り,誠にありがとうございます。私は学部から大学院まで,川崎医療福祉大学医療情報学科で育ち,平成21年度より同学科の助教を勤めさせていただいております。大学院時代に,重症心身障害児施設入所児の実態調査分析を行う環境を提供していただき,以降,医療情報学の知識を活用しながらの福祉分野の研究に興味を持っています。
 助成課題における肢体不自由児施設とは,児童福祉法に基づく児童福祉施設であり,また医療法に基づく病院でもあります。すなわち,肢体不自由児施設では生活・教育・医療が渾然一体となっており,他の施設や病院にない幅広いサービスが提供されています。
 では,この肢体不自由児施設で実際に生活している方にどのような障害があるのかといいますと,我々の調査では,入所児全体の9割以上の方が肢体不自由と知的障害を重複している状態でした。さらに,重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複する方(定義どおりの重症心身障害児)が全体の35%に達していました。ここに該当する方は,データ上は,一見して重症心身障害児施設に入所するべき人ではないかと見えなくもありません。ちなみに,重症心身障害児施設では,重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複する方(定義どおりの重症心身障害児)が全体の74%となっています。つまり,種々の福祉施設の意義や目的は異なるものの,そこに入所している方々の実態には共通する部分があります。本研究を含む一連の研究をとおして,肢体不自由児施設や重症心身障害児施設,また知的障害児施設など,各児童福祉施設の意義や目的,利用者の実態像を改めて整理する研究が必要だと考えさせられました。
 肢体不自由児施設入所児の障害の状態や支援のニーズは様々で,臨床現場では,個人の健康問題や生活問題に合わせたより適切な支援を提供するための努力が日々続けられています。助成課題では,この適切な支援を導き出すために,個人毎の心身機能,生活活動,社会参加の実態把握のための調査を行いました。これは別に論文にまとめて報告させていただきます。今回の助成によって実施できた研究の経験をいかし,今後も,医療情報学を軸とした医療福祉関連の研究に臨みたいと思います。


[平成22年2月4日掲載]