川崎医療福祉大学 脇本 敏裕
(平成21年度 受賞者)

より良い運動指導法を求めて

 この度は平成21年度教育研究助成を賜りましたことを深く感謝いたします。私は川崎医療福祉大学大学院在学中から中高年齢者の運動指導に従事しており、現在は川崎医療福祉大学に勤務する傍ら、川崎医科大学附属病院 健康診断センターで健康運動指導士として、受診者の皆さまに運動に関するアドバイスを行っています。
 平成20年度から、メタボリックシンドロームの予防、改善を目的とした特定健診、特定保健指導、いわゆる“メタボ健診”が開始されました。この制度では、メタボリックシンドロームと判定された方や、その疑いがある方に食事や運動など、生活習慣改善のための指導(特定保健指導)を行うことが義務付けられています。川崎医科大学附属病院健康診断センターでも、制度開始当初から医師、保健師、健康運動指導士が連携して、生活習慣改善のための支援を行っています。この特定保健指導にはポイント制が導入されており、その上限が決められています。したがって、いかに少ない指導の回数で、正しい運動の実践方法を習得してもらい、運動継続のための動機付けを高めてもらうかが指導を行ううえでのポイントとなります。
 今回の助成により実施した研究では、3つのグループに対して、3種類の異なった方法でストレッチング(柔軟体操)を指導し、自主的にストレッチングを実施する期間(1週間)を設けた前後で、柔軟性(体前屈)を測定しました。その結果、従来から行われている集団での一斉指導や、パンフレットを配布するのみでは、柔軟性は変化しませんでしたが、チェックリストを使用して、一人ひとりストレッチングの実践方法を確認しながら指導したグループでは柔軟性が向上しました。3つのグループでストレッチングの実施頻度に差はなく、運動の指導方法によって対象者が実践する運動の“質”を向上させられることが示唆されました。この結果は別に論文として発表させていただきます。 今回の研究はストレッチングを運動課題としましたが、筋力トレーニングやウォーキングなどへ応用することで、少ない指導の回数で、効果的な運動指導を行うことができるのではないかと期待しています。
 メタボリックシンドロームや生活習慣病など、疾患の予防が重視されるようになり、運動指導士の活躍の場が広がっています。今後は、健康づくりに従事する運動指導士がより良い指導を提供できるよう、今回の研究により得られた成果をさらに深めていきたいと思います。


[平成22年8月26日掲載]