川崎医科大学 西村 広健
(平成23年度 受賞者)

「スフィンゴシン-1-リン酸受容体?」

 この度は、平成23年度川崎医学・医療福祉学振興会助成を賜り、誠にありがとうございました。
 私の研究テーマは「ヒト疾患におけるスフィンゴシン-1-リン酸受容体の発現とその役割の検討」です。「スフィンゴシン-1-リン酸受容体?」聞きなれない名前だなあ、と思う方も多いかと思いますが、現在大変注目されている分野の一つです。特に、神経難病である多発性硬化症に有効な治療薬として、スフィンゴシン-1-リン酸受容体(S1PR)作動薬として知られるFTY720が承認されたばかりで(2010年FDA、2011年日本)、世界中で注目されているテーマの一つです。
 私は、病理医として診断病理のトレーニングを積み・診断業務に励んできました。その中でも「神経病理」という分野に興味があり、特に力を入れてきました。本研究では、今まで培ってきた「神経病理学的手法」をフル活用し、いわゆる免疫染色を中心とした方法を用いて形態学的に検討し、PCRやウエスタンブロットなど様々な方法(病理学的研究では、近年サッパリ行われなくなった(?)、免疫電顕もやったりしました)で検証することで、未だ詳細不明であった、中枢神経系におけるS1PRの発現・分布について明らかにし、報告することができました。
 さて、これだけ医学が進歩して、医学研究も世界中で行われており、どんどん論文も出て、もう新しいことなんてないのかなあ?と勘違いしてしまう気がしないでもないですが、やっぱり良く分かっていないことも多く、たくさんの研究テーマがあるんだなあ、と最近よく思います。それだけまだまだ医学貢献出来る・貢献しないといけない・解明しないといけないことがあるんだ!ってチョット不安になったりもします・・・。
 昔は(つい数年前までは)、良い治療が無かった病気でも、劇的に有効な治療薬ができたり、診断困難であった病気が容易に診断できるようになったり、医学の進歩はものすごいですが、それに負けずについていくためには基本的・古典的・歴史的(とか言うと怒られるかもしれませんが)なことも含めて日々しっかり勉強し、不明な点は自ら明らかにしていく姿勢で、常に努力していかないとダメだなあと自分に言い聞かせているつもりなのですが、この原稿さえも締め切りぎりぎりだったりして・・・。


[平成24年1月27日掲載]