長 洲  一
(平成24年度 受賞者)

研究留学において -Boston-

 この度は皆様方に近況を報告する機会を頂き誠にありがとうございます。現在、2012年10月よりHarvard School of Public Health, Department of Genetics and Complex Diseases に留学しております。
 研究内容は炎症システムの一つであるインフラマソーム活性化機序とインフラマソーム関連細胞死(pyroptosis)の炎症拡大に対する役割についてであります。Bostonへ留学して半年が経ち、少しずつ慣れてきました。ラボ自体は英語の不慣れな僕に対しても非常に温かく研究に没頭する日々を与えていただいております。留学にあたり、3つの目標を掲げております。1つ目は研究テーマの拡大です。大学院時代には内皮障害中心に腎臓領域また高血圧臓器障害を研究テーマとしておりました。しかし今後自分のminorityを活かせる領域を開拓するため、新たなフィールドとしていままで踏み込んでこなかった炎症(特に炎症性腸疾患)と細胞死の領域を選びました。また、2つ目の目的としては見聞を深めることです。研究テーマと同様に視野を広げて多くの研究者と議論をし、自分の研究内容をより包括的に理解する事を目標にしております。3つ目は海外で生活するという事そのものです。自分の知らない土地で新たに生活をする事で新しい価値観に触れ、人間として少しでも成長できればと思っております。
 最後に少しBostonの生活について報告させていただきます。10月に移動した時点では、秋めいてきた綺麗な町並みが印象的でした。Bostonは大きな街ではなく、交通は、バスとTと呼ばれる路面電車と地下鉄が合体したような電車が主であります。これが慣れると便利で、妻と2人暮らしの事もありますが車いらずの生活をしております。また大学や研究施設が非常に多いため、多くの日本人研究者と接する事ができ、研究に関する話題のみならず生活においても情報交換する事が多く非常に助かっております。昨年は暖かい冬であったようですが今年はハリケーンやブリザードが来たため(良くも悪くも)Bostonらしい冬を過ごす事ができました。冬の気温は、マイナスは当たり前で、1月は-10度を下回る日々でした。ここに来て少し春の気配を感じる日々であります。これから夏にかけて最も良い季節になります。
 今後もここでしか得られない経験を肌で感じながら生活できればと考えております。
 長くなりましたが、日本に帰国後また皆様とお会いできるのを楽しみにしております。
 現在のテーマは私自身の専門であります腎臓からは大きく離れておりますが、日本へ帰国する事になれば腎臓における炎症と細胞死について検討を続けていきたいと考えております。


[平成25年3月27日掲載]