専門学校川崎リハビリテーション学院 田中 繁治
(平成27年度 受賞者)

変形性股関節症患者さんのより良い生活を目指して

 このたびは公益財団法人川崎医学・医療福祉学振興会教育研究助成を賜り、誠にありがとうございました。選考委員会の先生方および、関係者の皆様に深謝いたします。
 私は、川崎学園でお世話になって10年目になります。所属は専門学校川崎リハビリテーション学院という理学療法士・作業療法士の養成校になりますが、兼務として川崎医科大学附属病院リハビリテーションセンターで臨床もさせていただいています。臨床では、変形性関節症の患者さんを担当させていただくことが多いのですが、患者さんから「歩きづらくて困る」、「痛くて何をするにも憂鬱」、「旅行なんかも行きたいけど、他の方に迷惑をかけるから」、「庭の草取りができないのよ」、などなど、たくさんの声をききます。そこで私は今回、「変形性股関節症患者におけるInstrumental Activities Daily living:交絡因子を含めた歩行速度との関係」と題して1)変形性股関節症患者さんの日常生活にどういった身体機能が関連しているのか、2)歩行能力は患者さんの日常生活に関連するのか、3)関連する身体機能や歩行能力のカットオフ値はどこか、ということをテーマに研究を実施しました。
 本研究の結果、変形性股関節症患者さんの日常生活には、数ある身体機能の中でも股関節の屈曲可動域と歩行速度が有意に関連していることがわかりました。また、股関節の屈曲可動域が93度以下であった場合、歩行速度が42.3m/min以下であった場合は、同年齢の平均以下に日常生活動作が制限されることがわかりました。
 この結果は、患者さんのリハビリテーションを実施する際の1つの指標になるものと考えています。できるだけ患者さんがより良い生活をするためには、これくらいの身体機能は最低限保持しておく必要があると言え、我々療法士が運動療法を実施する際や患者さんへの指導に活用できるものと考えています。なお、本結果についてまとめた論文は、リハビリテーションの専門誌に投稿中です。
 今後も、患者さんの声を大切にしながら、多くの患者さんや障がいを持った方々のQOL向上に貢献できるような研究を実施していきたいと思っております。

[平成28年9月20日掲載]