川崎医科大学 和田 裕子
(平成28年度 受賞者)

脳卒中市民公開講座を用いた患者教育と地域医療活性化

 このたびは、公益財団法人川崎医学・医療福祉学振興会教育研究助成を賜り、誠にありがとうございました。
 今回の助成の申請目的は、脳卒中に関する知識情報を一般市民の皆様に提供することにより、適切な受診を促すことはもとより、疾病の発症予防(再発も含め)につなげることです。昨年までは、川崎医科大学近辺で行っておりましたが、川崎医科大学附属病院の救急の医療圏が広域にわたること、川崎医科大学総合医療センターの脳卒中科のSCU開設もあり、岡山市の中心で開催する方が適切と考え、岡山コンベンションセンターでの開催に踏み切らせていただきました。
 近年、脳卒中の急性期治療の発展は目まぐるしく、後遺症が大幅に軽減できるtPA静注療法や血管内治療が主流になってきています。しかしながら、これらの治療は、限られた専門施設でしか受けられず、時間との勝負になっています。
 迅速な受診を患者さんにしていただくために、米国心臓協会/米国脳卒中協会(AHA/ASA)は、一般市民に脳卒中の警告サインを認識できる「FAST」を広めることを推奨しています。「FAST」とは、脳卒中で多くみられる徴候を標語で示したもので、FはFaceの略で、顔面の麻痺の有無(顔の片側が下がっていたり、麻痺がある。笑顔が作れるか?)、AはArmの略で四肢の麻痺の有無(片腕に脱力や麻痺がある。両腕が上げられるか?片腕が下がっていないか?)、SはSpeechの略で、構音障害や失語の有無(呂律はまわっているか。話ができない。相手の話が理解できない。簡単な文が正しく繰り返せるか?)、 TはTimeの略で、「上記のいずれかがあれば、症状消失後でも救急に電話し、速やかに病院へ」の頭文字を組み合わせです。これらの徴候を一般市民に知っていただくことで、迅速な救急受診につながると考えられており、今回の公開講座でも「FAST」の普及に努めさせていただきました。
 今回の市民公開講座を通して、脳卒中診療の活性化と川崎医科大学附属病院の脳卒中救急の普及ができたら、と考えております。少しでも多くの患者さんの治療につながるように、今後も活動を続けていきたいと考えますので、よろしくお願い申し上げます。

[平成29年1月26日掲載]