(甲状腺/副甲状腺)
甲状腺は喉仏のすぐ下あり蝶のような形をした20gほどの内分泌臓器です。内分泌臓器とはホルモンを作る臓器のことであり、甲状腺は甲状腺ホルモンを合成・分泌し、代謝に関与します。
甲状腺疾患は甲状腺ホルモンの異常(甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症)と甲状腺内にできるしこり(良性と悪性)に大別されます。手術の適応となるのは甲状腺機能亢進症の中のバセドウ病と甲状腺内にできるしこりです。
・バセドウ病: |
副甲状腺は甲状腺の左右の背側に位置する米粒大の内分泌臓器であり、通常は4つ存在することが多いです。副甲状腺は副甲状腺ホルモンを合成・分泌し、血液中のカルシウム濃度が一定になるように調節しています。
副甲状腺ホルモンが出過ぎる病気は原発性副甲状腺機能亢進症と二次性副甲状腺機能亢進症があります。原発性とは副甲状腺自体が原因でホルモンを多く分泌してします疾患であり、二次性とは腎臓などの他の臓器が原因で副甲状腺がホルモンを多く分泌する疾患であり、主に透析患者さんが罹患します。
・原発性副甲状腺機能亢進症: |
多発性内分泌腺腫症(multiple endocrine neoplasia:MEN)は様々な内分泌臓器(一部非内分泌臓器)に過形成・腺腫・癌を発症する遺伝性疾患です。MEN患者を診断することの重要性として、①非遺伝性腫瘍とは異なる治療方針が求められること、②診断の契機となった臓器以外の病変がある、あるいは今後病変が出現する可能性があること、③まだ診断されていない、あるいはまだ発症していない血縁者の早期発見・早期治療を可能にすること、があげられます。
MENはMEN1とMEN2に大別されます。MEN1は副甲状腺(原発性副甲状腺機能亢進症の2~5%)以外に下垂体や膵、消化管などに病変を認める、あるいは今後出現する可能性があります。また、MEN2は甲状腺(甲状腺髄様癌の20~40%)以外に副腎や副甲状腺などに病変を認める、あるいは今後出現する可能性があります。MEN1あるいはMEN2が疑われる患者様には遺伝子検査(一部保険適応あり)について説明します。当院は遺伝診療部があり、十分なカウンセリングを行った後に遺伝子検査をするかどうか選択して頂きます。
→遺伝診療部ページ(https://h.kawasaki-m.ac.jp/data/dept_119/dept_b_dtl/)