教育活動

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概要

医学を学ぶには人体の構造の理解が不可欠であり、このため解剖学教室は、肉眼から細胞・分子レベルまでの生命体の階層的構造に関する科目を担当する。平成21年度から始まった現行カリキュラムでは、1年生1学期の「人体構造入門」の授業から始まり、2学期、3学期にかけて『人体の構造と機能I』コースとして、器官別ユニット形式に教育を行なう。また平成26年度からは5年生の「診療の基本」の中で臨床解剖実習を行い、3学年が履修を終えた。

人体の構造と機能Iコース:1年生

1年生の各ユニットは、解剖学、生理学、臨床各科が分担して共通の教科書を用いて講義・実習を行う。具体的には、1学期に「人体構造入門」において人体構造の概略を学んだ後、2学期“人体解剖実習”と3学期の“脳神経実習”の実習内容に合わせ、「呼吸器・消化器」、「泌尿器・生殖器」、「運動器」、「循環器・内分泌」、「脳神経・感覚器」の各ユニットをマクロからミクロ、生理学を織り交ぜ、各ユニットに“組織学実習(顕微鏡実習)“を組み込む構成である。また5年生の1学期に「診療の基本」として “臨床解剖実習”を行う。平成27年度は60分の授業が1年生は全930コマあるが、そのうち講義135コマ、実習247コマを、また2年生の講義7コマと5年生は実習15コマを担当している。

生命の尊厳の重要性を深く理解し、学習の姿勢と勉強法の確立すること目的に、1年生から解剖学教育を始めている。「人体構造入門」は人体の基本的知識の修得と系統的理解を目標とし、『人体の構造と機能I』コースの臓器別ユニットでは、従来の肉眼解剖学と組織学が並行して実施し、人体解剖実習の日程に沿って、学生の知識の断片化や重複がないよう、各教室のスタッフが十分に意見交換している。更には器官別ユニットに関連して臨床系20教室の協力を得て、臨床から見た解剖生理の重要性を講義する。『人体の構造と機能I』コースは、医学生低学年における医学総論ともいえる位置づけである。また1年生全寮制を活かし、学年・小グループ担当教員、事務、寮、健康支援センター関係者とも密接に協力している。

診療の基本;臨床解剖実習:5年生

5年生の臨床解剖実習は、併行して行われる臨床講義(具体的症例を提示して病態生理学的思考法を修練する;病態代謝学・松田純子教授)の内容と密接にリンクし、症状・診察・検査・診断・治療の基本となる解剖学的基礎の修得を目標とする。初学年で行った人体解剖の初心に立ち戻り、それ以降に培った医学的知識と経験、倫理感を学生医師(スチューデント・ドクター)として高いレベルで統合できるよう指導を行う方針である。

篤志献体啓蒙・慰霊祭・医の倫理

人体解剖実習を通じて涵養される献体に対する感謝・畏敬の気持ちは、臨床医学における“医の倫理の出発点”として、かけがえのない重要な意義を持つ。毎年5月の解剖体慰霊祭には2年生が中心となって、参列するのみでなく、受付、案内、会食、懇談、慰霊碑参拝案内など、慰霊祭実施に全員参加し、特にご遺族とくすのき会(本学献体の会)会員さんとの交流を深め、献体について理解を深めている。(教室員全員)

くすのき会には、慰霊祭・年次総会の他に、樋田主任教授が入会希望者ご本人と個別面談を行っている(准教授、講師、技術員が同席)。学内にお越しいただけない方は、学外に出向いて面談を行っている。平均して入会に関するお問い合わせが1日に1〜2名あり、このうち週に1名の方と面談している。

更に1年生では、リベラルアーツの一環として、人体解剖実習を行う2学期に、『ソフィーの世界』と題した“医学生のための哲学講座”を開講している。古今東西の哲学者、医学者、文学者、小説家、そして様々な書物を紹介し、人間と生命を考え、人生、如何に生きるべきかを、受講学生と語らいながら共に探求している。(詳細はシラバス参照;樋田)

このような医の倫理教育について、求めに応じて学外でも講演を行っている。特に、倉敷市教育委員会及び倉敷市教育センターにおいて初等教育・中等教育の教員研修会、“リーガルサポート岡山”の成年後見人研修会において講演を、県内市町村福祉関係への啓蒙活動協力の依頼を行っている。(樋田)

研究室配属『医学研究への扉』:2年生

平成27年度より始まった第2学年研究室配属科目『医学研究への扉』は、第2学年担当の解剖学主任教授・樋田が科目責任者となり、学年副担当の嶋准教授が補佐をし、また大森研究補助員が教務課、情報システム室と連携して事務業務を行い、多教室連携のこの科目を実行している。中央研究センター、中央研究部、研究支援係、教務課、教務委員会、倫理委員会と密接に連携し、主に解剖学教室が実施事務局として通年で活動を行っている。

医療系学生教育:学外

医療系教育には全て解剖学は必須であるが、その教育を実践できる教員が全国的に不足している状況から、平成24年度から学内外の医療系学生の解剖生理学教育に取り組んでいる。具体的には、川崎医療福祉大学保健看護学科1年生に年間60コマ、倉敷看護専門学校看護科1年生に年間75コマ、川崎リハビリテーション学院1年生に年間15コマ、そして川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部1年生に年間15コマ、川崎医療短期大学臨床検査科に3コマ(学外は全て1コマ90分)を教室員全員で分担している。このため教科書と教材を共通化し、限られた時間内で有効な結果が得られるようなカリキュラムを作成して実践している。平成29年4月からは、清蔭恵美講師が川崎医療福祉大学医療技術学部に新設の臨床検査学科に教授(専任)に異動・昇任、園田祐治講師が川崎医療福祉大学総合教育センター医学教育部門の准教授(専任)に異動・昇任した。

教育と学生指導に関する自己評価と反省

人体の構造と機能を限れた時間の中で有効に学ばせるかが基礎医学教育の大きな課題である。現行カリキュラムにおいて1年生の教育は解剖学教室が最も多くの時間を担当し、マクロおよびミクロを統合した解剖学教室の特徴を生かし、生理学教室および関連臨床系教室の協力によって、継続的・発展的に着実に進行していると自己評価する。更に学生からは、科目全体、教員個別、実施時間、配付教材について概ね高い授業評価を得ている。現行カリキュラムの実施経験を生かし、また学生授業評価を迅速に教育に還元し常に改善し、引き続き更に発展するよう、教育内容の検討を重ねている。

多くの実習を通して学生との接触の機会が多い事から、教室スタッフの大半は、学年担当、小グループ、スタディーヘルプ、学生相談などに様々に関わっており、教育と学生指導を多角的に連関して教員活動を行っている。

医学を学ぶスタート時点での学生の、多くの教育を担当する責任は重大である。このことを自覚し、本学の建学理念である人間教育の原点を常に忘れず、教室員全員が日々精進することを改めて誓うものである。